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2012年07月10日号

第2回:ビジネスパーソンは内外に気配りが必要

このコラムでは、日本CA協会代表の真山美雪氏をライターに迎え、お客様にICTサービスを提供するユニアデックスとしてホスピタリティーマインドについて考察していきます。真山氏ご自身のキャビンアテンダントしての経験を踏まえながら、ビジネスマナーなどについても改めて解説していきます。

円滑な人間関係の形成に欠くことの出来ない「ホスピタリティーマインド」。ビジネスシーンにおいて、どのように活用するべきでしょうか。今回は具体的なケーススタディを通じて、対人コミュニケーションのコツをお伝えしていきたいと思います。
日経BPコンサルティングが実施した調査によると、所属する部門に違いはあっても、人間関係で苦労したり、いやな思いをするビジネスパーソンは思いのほか多いことが分かりました(図1)。


図1 仕事上の人間関係で苦労したり、嫌な思いをしたりした人の比率

ただし、経営に関わる部門は「コミュニケーション」「マナー」に関して苦労した回答者が多く、販売/営業は、「ジェネレーションギャップ」「メール・電話・手紙」に関して嫌な経験にさらされる機会が多い――というように、仕事上の立場によって、その内容は千差万別です(図2)。


図2 仕事上の人間関係で苦労したり、嫌な思いをしたりした人の内訳


外向けには第一印象の改善が特効薬

まず、会社などの組織において利益に責任をもつ代表的な部門である「営業部門」や「販売部門」に所属するビジネスパーソンが抱える悩みについて触れましょう。顧客と接触する機会が多い営業や販売関連にお勤めのビジネスパーソンは、企業にとっての窓口的な存在であり、顧客からの様々な声に晒されます。前出の調査においても以下のようなコメントが寄せられました。

●息子のような年下の顧客から人生を説くような言われ方をする(40代男性・製造業)
●顧客から理不尽な要求をされる。要求を断っても相手にされない(40代男性・通信サービス)
●自分の子供ぐらいの顧客の乱暴な言葉づかいなどに、嫌な思いをする(30代女性・パート/アルバイト)


このように相手の品格や基本的な礼儀に問題がありそうな場合においても、顧客との関係を改善する有効な方策があります。そのひとつが第一印象を磨くことです。
第一印象を良くするには、まず「見た目(ノンバーバルコミュニケーション)」を整えることが大切です。米国の心理学者アルバート・メラビアンによれば、動物の場合、自分の視界に入ってきた物を一瞬にして脅威かどうかを判断しますが、人間は動物より少し時間がかかり数秒〜8秒くらいで相手を識別すると言います。動物は、その後嗅覚、聴覚、味覚といった視覚以外の五感をフル活用して相手を観察します。人間の場合も相手の表情、態度、話しかた、声、身だしなみ、匂い、触覚(握手やハグする場合や手のひらの温度など)などの情報を総合的に判断して相手を見定めますが、視覚で得た情報が最も印象に残ります。

しっかり相手の目をまっすぐ見て、身体を正対させ、やさしい表情で話しかければ、相手はずっと簡単に受け入れてくれるでしょう。もちろん、身だしなみや匂いなども整えて、相手を不快にさせないことも重要です。やる気のない態度や声は一瞬にして相手に伝わります。言葉遣いなども横柄だと第一印象はかなり悪くなってしまいます。

心理効果の一種である「ハロー(後光)効果」を利用することも好感度をアップさせるテクニックです。「自分を受け入れてくれた」と感じた時に、人間は相手を受け入れる心の準備ができます。逆に、「この人間は自分を拒絶している」と思いこんだら最後、相手は心を頑なに閉ざします。まずは見た目(ノンバーバルコミュニケーション)で相手の第一印象は惹きつけましょう。

私が日本航空の国際線業務に携わっていたときに、南回りのヨーロッパ航路に搭乗することがたびたびありました。アジアの国を順番にストップオーバー(途中降機)して、最後はローマに到着するのですが、途中から搭乗するお客様の中には、英語も日本語も通じない方もたくさんいらっしゃいます。そうしたときに頼りになったのが、表情や態度といった,ノンバーバルコミュニケーションでした。今振り返るとホスピタリティーマインドに則った接客の基本を、そうした場面で身をもっておも学んだのかもしれません。

社内の人間関係改善にもホスピタリティーマインドは有効

ホスピタリティーマインドを活用した接客のコツは、社内における人間関係の改善にも応用できます。

下記は営業や販売の業務に関わっているビジネスパーソンから寄せられた、仕事上の悩みや苦労に関するご意見です。顧客との関係性以上に、社内の上下関係や他部門との連携、あるいは同僚との人間関係でストレスを感じている人が多い事実に改めて驚かされます。

●「上司が常にワンマンで正しい意見を言えない」(50代男性・サービス業)
●「社員同士で批判しあう。指示を出しても腰が重い。連絡相談報告が徹底していない」(30代男性・運輸/エネルギー)
●「社内の派閥で板挟みにあっている」(50代男性・製造業)


「上司がワンマンで意見が言えない」ケースでは、どのようにワンマンだとしても、自分の意見を上手に伝えなくては、気持ちは一生伝わることはないでしょう。コミュニケーションのコツは「あきらめないこと」です。上司は自分を「ワンマン」だとは思っていないかもしれません。

自分の意見を上司に伝えるには、まず自分が伝えたいことをしっかりまとめてください。そして、もし自分が上司だったらどうかと相手の立場にたってもう一度考えてみてください。予め起承転結を考え、論理立てて、自分の言いたい事をまとめてから相手に伝わるように話しましょう。その際は、相手の表情や態度を見逃さず、どんな思いで聴いてくれているか、一言伝える度に相手が理解してくれているか観察しましょう。もし、不快な表情が見受けられたら、「上手く表現できず、申し訳ございません」などフォローの言葉を入れ、「・・・という意味で申し上げたのですが」など、粘り強く説明を行う努力が必要です。

「まあ、いいか」、「どうせ、わかってもらえない」とあきらめたら、伝わることも伝わりません。

社員同士での連絡や相談が徹底していない――というケースでも、「自分の思っていること、伝えたいことを相手に理解してもらうことは容易ではない」という前提にたてば、全力で相手に伝える努力の大切さを理解することができるはずです。

単なるメールだけでは不十分

メールやメモで伝えただけで報告したつもりになっている人は、実は相手のことが見えていないことが多いのです。メールで上司にCCをしただけで報告した気持ちになっている人も多いと聞きます。

上手にコミュニケーションをとるには、できるだけ沢山の手段を使って情報を伝達することです。オフィスワークにおいても、メール、電話、実際に会って直接伝える――など、二重三重に情報の伝達に気を配り、大事なことはくどいくらいに指示をしたり、連絡や報告、相談をしたりすることが必要です。

「先ほどメールをお送りしましたが、ご覧いただけましたか」と顧客に電話を入れたり上司に語りかけたり、「本日のミーティングの件、下記ように、理解いたしましたが、足りないところはありませんか?」というようにメールやメモでエビデンスを残すなどのテクニックは、コミュニケーションスキルの本質そのものであり、情報伝達、意思疎通、情報共有を図ることにもつながります。

メールはビジネスに欠くことができない情報ツールですが、自分は送ったつもりでも相手に届いていなかったり、迷惑ボックスにはいったままで読んでもらえなかったりする落とし穴もあります。数百通のメールに目を通す必要がある忙しいビジネスパーソンは受け取ったメールを必ず読んでくれる保証はどこにもないのです。

メールによるコミュニケーションに頼り過ぎていると感じる方は、電話で直接先方の声を聞くことを心がけたり、実際に訪問して表現豊かに話すなど、日頃からコミュニケーションの訓練を心がけたりすることをお勧めします

経営層の悩みも深い

経営サイドも人間関係で多くの悩みを抱えています。

●「親の跡を継いだ経営者なので、定年間近の古参従業員とのやりとりなどに苦労する。新しく採用した社員と古参従業員の軋轢もある」(30代男性・製造業)
●「経営者なので、従業員の不平、不満を聞かなければならず、身勝手な要望にもそれなりに応えてやらなくてはならない。」(40代男性・製造業)
●「従業員からの連絡・処理結果の報告がない」(40代男性・製造業)


上記は前出の調査で「経営全般」に関連する部門に所属する回答者から得たコメントです。年齢差をはじめ、様々な価値観をもつ社員で組織された会社をとりまとめて「経営」に奮闘している、経営者やマネージャーの姿がうかがえます。

世代のギャップはホスピタリティーマインドで解決可能

価値観の違う部下とのやりとりは難しいでしょう。しかし、ジェネレーションや立場の違いによるギャップは、シニア社員も若手社員も、経営者も一般の社員も感じているのではないでしょうか。育った環境や世代が違えば、それはお互い様です。とりわけ、産まれたときから携帯電話やPCが当たり前のように身の回りに溢れている、いわゆる「デジタルネイティブ世代」とそうでない世代とでは、コミュニケーションのとり方が大きく異なります。「デジタルネイティブ」の研究にはマーケティング分野の専門家も大きな関心を寄せています。

相手の立場を考えることは、ホスピタリティーマインドの第一歩です。例えば、取引先のベテラン社員にメールを送る際、「メールの文字が小さかったら読みにくいのではないか?」、「毎日パソコンを利用している人物か?」などホスピタリティーマインドを駆使して相手の状況を推察することができれば、年齢や価値観が異なる相手とのコミュニケーションも恐れることはありません。 もちろん年齢の上の方に接する際は敬語をしっかり使う事が基本です。そして、態度や表情なども、「人生の先輩」として敬うという気持ちを忘れないことが大切です。 逆に新しく採用した若い社員に対して経営者は、しっかりとビジネスマナーを教え、挨拶、身だしなみ、敬語や態度などをきちんと教育する必要があります。こうした努力は社内のコミュニケーションを円滑にするために必須ですし、会社のブランド力を向上させることにも有効です。

ノンバーバルコミュニケーションがしっかりできている会社は必ず伸びます。個人がしっかりとした応対ができると会社全体のモチベーションも必ずあがるはずです。

たかが言葉遣い、たかが身だしなみと思っていると、会社全体がコミュニケーション不全に陥ります。まずは、挨拶をしっかりする。態度、身だしなみを整える。そしてしっかりとした社会人としての言葉遣いを教える。そうした研修・人材育成を経営者が率先して推進することが必要です。

真山 美雪(まやま みゆき)

プロフィール:
株式会社 ビジョンテック代表取締役 / 日本CA協会(Flight Crew Association of Japan)代表
東京都世田谷生まれ。

日本航空株式会社に国際線客室乗務員として勤務。ファーストクラス担当客室乗務員として皇室フライトにも従事。退職後、企業研修、社員教育などで、ホスピタリティーマインド、ビジネスマナーコミュニケーションスキル、キャリアやライフプランなどの研修講師。専門学校、短大、大学などでコミュニケーション、就職面接対策講座などの講師として就職活動を支援している。
下記の大学、団体なども講義・講演を行う。「きみにもできる国際交流 アメリカ編」(偕成社)、「カンペキ、女性のビジネスマナー」(西東社)、「これで解決!オフィスの好印象マナー」(主婦の友社)、「これで解決!伝わるメールと手紙の書き方」(主婦の友社)など著書、監修本も多数。
九州大学大学院生物資源環境学府「生産産業創成学コース キャリアパス支援科目講師/MJC認定チーフコーピングトレーナー/亜細亜大学キャリアセンター非常勤講師/日本交流分析協会会員/医療法人社団厚誠会 顧問など。

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