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Feature Story
2009年1月30日号

「省エネ」を支える新しい技術 〜インテリジェント空調システム〜
ユニアデックス×清水建設×アイピースクエア

ユニアデックスがビル用マルチエアコンの「省エネ化」に一役買っている-----。そんなニュースが飛び込んで来ました。パートナーは大手ゼネコンの清水建設と、新進気鋭のITベンチャー企業であるアイピースクエア。3社共同でビル用マルチエアコンを制御し、最も効率よく運転させる「インテリジェント空調システム」の開発・実用化に成功したというのです。
インターネットを介して複数台のエアコンを同時に制御するシステムは、日本初の快挙。現段階で25%もの省エネ効果を実現しています。これが実用化し、どんどん広まっていけば、画期的な「省エネ対策」につながることは間違いなし。地球温暖化が深刻化している今、これは非常に価値のある技術開発だと言えるでしょう。素晴らしいことです。 

しかし、一体どのような経緯で3社のコラボが実現することになったのか、これは詳しい話を聞いてみなくてはなりますまい!ということで、ユニアデックスファシリティ事業グループ デバイスビジネス事業部 設計開発一部長の吉田欣司さんと、首都圏第一営業所営業部長の入江登喜夫さんに突撃レポートを敢行。直接お話を伺って来ました。

聞いてビックリ、見てビックリ。まさかこんなことになっているなんて! 「省エネ」を支える新しい技術は、実はとんでもない可能性を秘めていたのです!! 


■「日本初」の始まりは、逆転の発想との出会い

現在一般的に使われているビル用マルチエアコンは、一台の室外機に複数の室内機を接続するタイプ。各部屋や各フロアごとに室内温度などを調整できる使い勝手の良さから、中規模以下のビルのほとんどに導入されています。皆さんの会社にも入っているのでないでしょうか?

ビルの中には複数の室外機・室内機のユニットを取り付けますが、残念なことにそれぞれが連動しているわけではありません。個々の制御のみとなるため、ビル全体で空調効率を高め、省エネ効果を上げるのが難しいのが現状でした。

地球規模での省エネが叫ばれている現在、企業が省エネに積極的に取り組むことは必要不可欠です。そんなニーズを受けて今回の共同開発が始まったのですが、今までバラバラに動いていたマルチエアコンを同時に制御し、最も効率の良い空調システムを実現したのは、なんと「センサー」と「インターネット」という、すでに私たちの身近にあるものだったのです。

そんな身近なものを使ったシステムが、なぜに「日本初」なのか。なぜ今まで誰もやってこなかったのか。興味は深まるばかりです。まずはその辺りからお話していただきました。

- 吉田 -
「そもそもの始まりは、「おもしろいことを開発している会社があるぞ」と、社内の者が見つけてきたところから始まります。それが今回一緒にやったアイピースクエアだったんです」

何がどうおもしろいのか? それは「逆転の発想」でした。

インターネットや社内のLANで使われているインターネットプロトコルであるTCP/IP、特にIPの部分は、ソフトウエアで制御しています。しかし、ソフトで制御するということは、パソコンやサーバーなどのマシンが必要になり、しかもそのリソース(メモリやCPUなど)を非常に多く使用します。場合によっては本来の計算業務や画像処理などに悪影響を及ぼすことも考えられます。

そこで、もっと効率よくリソースを使えないものかと、アイピースクエアが考え出したのが、「IPをハードウエアで制御する」というものでした。「エーシック※1」と呼ばれるICチップに制御プログラムを組み込み、ハードそのものでIPを制御するという、常識を覆す極めてユニークな研究開発に取り組んだのです。

彼らは見事そのチップの開発に成功し、「エージェントプロセッサー」という名の独自のLSIを世に送り出しました。今回開発した「インテリジェント空調システム」の要となっているのも、このチップです。


※1 エーシック(ASIC)
「Application Specific Integrated Circuit」の略。特定の用途のために設計、製造される集積回路のこと。カスタムIC、カスタムチップなどとも呼ばれる。

■センサーだって通信したい!

「ハードウエアでIPを制御する」という、新しい方法論が現実のものになると、今まで発想すらしなかったことが現実のものになる可能性が次々に出てきました。

- 吉田 -
「ひと言で言ってしまうと、プロジェクターや洗濯機、ドライヤーといった、今までネットに無縁だった電化製品を、インターネットやLANにつなぐことができるようになるんです」

現在、パソコンをはじめゲーム機やステレオなど、ネットワーク対応の電化製品が次々と出てきています。それらは「IPで通信をする」ことを前提として作られていますが、プロジェクターや洗濯機、ドライヤーなど、もともとIP通信の発想がないものもまだまだたくさんあります。そういったものでも、IP化して、ネットワークに参加させることが可能になるのです。

- 吉田 -
「多くの家電には、すでにマイクロコンピューターが内蔵されていて、温度や回転数などを自分自身でコントロールしています。ということは、データさえもらえれば、それらすべてをIP化して、IP通信可能な状態にすることができるわけです」

なるほど…。今まで不可能だったものが、ネットワークの仲間に入ることができるようになれば、いろんな可能性が広がってきますね。 「そして…」と、吉田さんは続けます。

- 吉田 -
「その延長線上に「センサー」があるんです」
「温度に湿度、地震や火災探知など、現在いろんなセンサーが出ていますが、いずれにしてもセンサーの仕事といえば、状況をキャッチし、そのデータを表示すること。でも、センサーだって実は通信したいんじゃないか、そんなことを思っていたんです。」

え?センサー自身が通信したい? それはまた斬新な発想ですね。

- 吉田 -
「そう言われればそうかもしれませんね(笑)でも、温度センサーにしても、単に「今何度ですよ」と表示するだけじゃ、つまらないだろうなぁと思ってしまったんです。その情報をデータとしてサーバーに渡せば、さらに違う使い道ができるに違いない。そうだ、センサーをIP化しちゃえばいい! そう考えたわけです。」

- 入江 -
「専用の電話回線を使って、センサーとコンピューターをつなぐ仕組みは、現在でも使われています。でも、専用回線は何かと取り回しがよくない。今の世の中、こんなにインターネットが普及しているのだから、そっちを使った方が、ずっと簡単で使いやすくなるのではないか? ということで「センサーのIP化」という発想までは行き着いたんです」


- 吉田 -
「ところが、その先がわからない。要するにどうすればIP化できるのかが、つかめなかったんです」

試行錯誤の日々が続く中、偶然というか必然というか、素晴らしいタイミングで、アイピースクエアとユニアデックスが出会うことになるわけです。冒頭でも説明しましたが、アイピースクエアは、「ハードでIPを制御する」という独特の発想を現実化したベンチャー企業。ここで一気に「センサーをネットワーク化する」という、今まで誰もがなしえなかったことが、現実のものになるのです。

- 吉田 -
「改めて考えると、出会いっておもしろいですよね。いろんなセンサーを利用して、省エネに使えないかと考えたのが清水建設。ノンIPをIP化する技術を持っているのがIPスクエア。そして、システム面で清水建設を補佐し、システム全体を構築したのが、我々ユニアデックスです。この3社が協力して「じゃ、省エネにどれだけ効果が出るか実験してみよう」ということでスタートしたのが、今回の事業なんです」

実に素晴らしい出会いです。必要なものは必要なときに出会うことができる…。なんだか神様の粋な計らいを見ているようです。

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