東北、新潟地域に64拠点を配置し、医薬品、医療器具等の販売を行うバイタルネット。各拠点で利用するPCを、VMware Viewを利用し、800台のシンクライアント環境へと移行。WAN環境下でも適切なリソースのキャパシティー計画を実施し、事前の十分な検証でLAN環境と遜色のない性能と信頼性を確保。同時に大幅なTCO削減、セキュリティー強化も実現した。
■システム概要
バイタルネットは、東北、新潟地域に64拠点3物流センターを配し、地域に密着したビジネスを展開している。ビジネスが拡大する中、各拠点で利用してきたPCは老朽化しレスポンス悪化の問題が発生していた。さらに情報漏洩対策、運用負荷軽減も課題だった。これらの解決のために採用したのが、800台のPCのシンクライアント化だった。とはいえ、拠点間は距離も離れているためWAN接続となり、性能低下の懸念もあった。それに対し、適切なサーバー、ネットワークの構成計画を立てて十分な性能を確保、さらにVMware Viewの仮想化機能を活用し柔軟で拡張性のあるシンクライアント環境を構築した。■システムの特徴
●WAN環境下のシンクライアントでもLAN環境同様の十分なレスポンスを発揮●仮想化技術を活用し、拡張性を確保。台数増加や業務量増加にも対応
●センター集約で拠点のシステム運用負荷を大幅に削減し、TCO削減に寄与
●シンクライアント化により盗難や紛失など、情報漏洩の危険性を回避
●クライアントにHDDがないので地震の際も故障は少なく、迅速な復旧が可能
■導入前の課題
ビジネス現場で利用しているPCの老朽化への対応各拠点で利用していたPCは導入から6年あまりが経過し、導入時に比べレスポンスが大幅に悪化していた。そのため、増加する業務量にも耐えられない状況にあり、日常業務に支障が発生することもあったのだ。老朽化したPCでは、レスポンスの悪化だけでなく故障などのトラブル発生の増大もあり、平均すると月に8台ものヘルプデスク対応が発生していた。故障したPCの修理には発生した拠点に赴く必要がある場合もあり、対応のための管理工数は1台あたりおよそ2.6日、拠点では代替機到着まで業務が2日間滞ることになる。月に換算すれば16日分もの時間が損失していた。
電子データのやり取りが増え情報漏洩リスクの増加
また業務のITシステム化が急激に進み、電子データでのやり取りも大幅に増加していた。メールの利用はもちろん、当時はUSBメモリーなど外部記憶媒体も利用されており、ノートPCの盗難や紛失の心配などもあり、情報漏洩のリスクは増大していた。ひとたび重要な情報が漏洩してしまうと、仮にそれが悪用されるといったことがなくても、企業のブランドを傷つけ、ブランド価値が低下しその影響は長期化する可能性がある。とはいえ、人的なミスをなくしルールを徹底するのはなかなか難しい。ユーザーに負担のない形での、堅牢なセキュリティー、情報漏洩対策が求められていた。
TCOの削減も大きな課題に
2009年4月、バイタルネットと関西、北陸地域を拠点とするケーエスケーは、共同持ち株会社「株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス」を設立、効率的経営を目指し、さまざまな活動を開始。 2010年には管理オペレーティング業務を行う株式会社VKシェアードサービスを設立、情報システム部門も集約しホストの共同運用を開始。さらなるTCOの削減が求められている中、システム運用の1課題はPCやサーバー増加に伴う管理工数の増加。クライアントごとのバージョンアップやパッチ適用作業などの効率化も急務だった。
■導入後の効果
事前の周到な準備でLAN経由と遜色ないレスポンスを実現VKシェアードサービス情報システム部担当部長の工藤整氏は「シンクライアントの選択は1つの冒険だった」と言う。拠点のPCレスポンス改善が目的の中、WAN経由のシンクライアント化で十分な性能が発揮できるかは、未知数だった。これに対し、クライアント1台あたり必要となるネットワーク帯域を調べ、まずは机上で十分な計画を実施。さらに、実機と拠点の実環境を使った検証を行い、これで大丈夫という構成を決めた。データセンターから拠点へのネットワーク帯域は、従来のおよそ20倍に。結果的に拠点のユーザーからは、レスポンスの改善に驚きの声が上がったとのことだ。
仮想化利用のシンクライアントで漏洩リスクを大きく低減
「PCを渡すと、どうしてもユーザーに自由に使われてしまう」と情報システム部の宇留間隆氏は言う。これが、仮想化を利用したシンクライアント化で、管理をセンターに集約できるようになった。端末にはハードディスクがなく、すべてが都度サーバーから配信され重要情報は保持できない。これだけでも情報漏洩リスクは大幅に削減され、さらにきめ細かなアクセス管理や利用状況監視などで、セキュリティー性も大きく向上した。セキュリティーパッチ適用なども、ユーザー作業に委ねるのではなく、センターのサーバーでマスターとなる仮想イメージに適用するだけで素早く徹底できるのだ。
センターに管理集約しリソース有効活用とTCO削減を実現
シンクライアント化は故障率低減にも寄与。月に1台あるかないかの故障。端末にディスクやファンがなく故障する箇所がない。耐衝撃性も優れ、先の震災でも落下などで壊れた端末はかなり少なかった。また、ソフトのインストールやバージョンアップ、パッチ適用作業の効率化メリットはかなり大きい。大規模な更新時に数日間を要した全拠点対応が、いまは数時間で終了。「拠点では確実に節電効果がある」と情報システム部次長の鈴木義秋氏。さらに仮想化でリソースの有効活用が可能となり、これもTCO削減に寄与している。

情報システム部担当部長
工藤 整 氏
■お客様の評価
マルチベンダー対応の実績と顧客目線での迅速なサポート体制がプロジェクト成功に貢献今回のプロジェクトでは、数社から提案があり評価の結果日本ユニシスとユニアデックスが構築を担当。ポイントは「マルチベンダー対応とSEのサポート力」だったと宇留間氏。
現状、ハードウエアはどのメーカー製でも大差はない。なので適宜選択し如何に効率的に組み合わせるか、そしてトラブル発生時などに如何に迅速に対応できるかが求められる。
とくに今回は前例のないWAN経由のシンクライアントであり、十分な事前準備が必須だった。
準備段階からネットワーク構成の検証など、顧客視点で深くユニアデックスが協力。結果的にプロジェクトは順調に進んだとのことだ。

情報システム部係長
宇留間 隆 氏

情報システム部次長
鈴木 義秋 氏
従来は個人環境のバックアップはユーザー任せだった。いまはセンターでバックアップを取得し、障害発生時にも瞬時に環境を戻せる。すべてがサーバー側にあるので、他拠点に出向いた際も端末さえあれば普段使っているデスクトップ環境をすぐに利用可能だ。「人事異動の際にも、個人データの移動などはかなり楽になった」と宇留間氏。災害時にもネットワークを準備できれば、場所が変わってもすぐに仕事環境を整えられたとのこと。その分センターの堅牢性は最重要であり、今後は冗長性による災害対策も検討する。そのための提案もユニアデックスへの期待は大きい。


