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Leading Talk 2008年12月19日号  

神田敏晶の「オルタナペディア」 Vol.02 インターネット6000日間の興亡
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シャッターを押すだけで、もうそのデータが”クラウド“に存在する世界

2008年内国内登場予定の「Eye-Fi Card」は、SDメモリーカードの形をした無線LANアダプターだ。
SDスロットのあるデジカメやデジタルビデオに装着するだけで、それらが無線LAN機器となるのだ。これは、メーカーの予想をはるかに超えたユーザーの行動が期待できる。

Eye-Fiの搭載されたカメラは、自動的に無線LANの電波を取得し、写真を共有サイトにアップロードする。さらにGPSの緯度経度によって写真にロケーション情報まで追記することもできる。
シャッターを押すだけで、もうそのデータはクラウドに存在するのだ。

近い将来、運動靴にSDスロットが搭載され、ランニングや運動量をGoogle Mapで、ロギングするなどの製品などが登場してもおかしくないだろう。

無線LANと高度なデバイスの登場によって、誰もがインターネットのクラウドを無意識で活用できるようになった。さらに進化したポータブルデバイスは、専門機器の領域を超えて、まるでPCのような汎用性を持ち始める。

インターネットをここまで高度に利用できるようになるまでに、ボクたちは約6000日を費やそうとしている。1993年のホワイトデー(3月14日)、文字と画像「<IMG>タグ」を同時に表示できるNCSA Mosaicのベータ版がリリースされてから、つまり現在のウェブの原型が登場してから15年(5475日)もの時が経過したという意味だ。

この6000日間の出来事は、世界の人々の行動を次々と思いもよらぬ方向に導いた。


YouTubeでは、懐かしのテレビ番組が発掘でき、ネット証券サービスでは、家の中を24時間のディーリングルームへと変えた。テレビ番組の情報は、テレビよりもネットの掲示板上でリアルタイムに議論されるようになった。

グーグルストリートビューでは、これから訪問する客先の会社を確認したり、行き先までの景色も事前に知ることができる。また、家電量販店で買い物をする前には、kakaku.comで最安値を調べたり口コミを見るようになった。さらに家電量販店で働く人たちも、掲示板や口コミをチェックしてから職場に向かうようになった。

ネット系スーパーマーケットで5000円以上の買い物をすれば、3時間後には、自宅に配達してくれるようになった。レジで並ぶことなく、自分で袋詰めもせず、そして、持ち帰らなくてすむのだ。しかもクレジットのポイントもたまる。
携帯電話は、固定電話会社NTTを、光回線の通信会社へと変革を迫らせた。今やNTTがスカパーやWOWWOWなどのCSテレビ放送を売るヘンな時代となった。

検索会社のグーグルは、いつしかGoogleDocsやGmailで、金銭を受け取らず、広告(Ad)をアッド(Add)するというビジネスモデルでマイクロソフトを完全包囲しはじめた。

Windowsパソコンに、全バンドルされていたはずの、MSNサーチを使う人は一体どこにいってしまったのだろうか?マイクロソフトでさえ、この6000日間の前半戦はホームでの好調な試合だったが、完全に後半戦は完全にアウェーでの戦いとなっている。

WindowsXPというパッケージ型のOSが市場に浸透するのに、約5年もの歳月を必要としたが、Gmailというクラウド型は、約3ヵ月で世界に浸透していった。しかも広告宣伝費用はゼロである。
この構図は両社の未来を物語る。マイクロソフトはクラウド型に参入せざるを得なくなった。
   
無線LANがポータブルに自由を与えた

1999年発表の802.11bによる無線LANの普及により、ケーブルという鎖で縛られていたPCは、Wi-Fiという新たな大気圏であたかも空気のようにネットへのアクセスを可能とした。登場から約3500日だ。

ニンテンドーDSや、プレイステーションポータブル(PSP)などのポータブルゲーム機が無線LAN機能を活用しているからだ。PSPでは、マクドナルドの無線LANで、知らない人同士が「モンスターハンター」で協働して狩りをするなんて姿も見かけるようになった。同じ光景がJRの車内でも発生している。ポータブルゲーム機が他人同士を結びつけているのだ。新型のPSPではSkype使用で無線LAN内では、携帯電話としても活用できるようにもなった。

DSでもカートリッジひとつで、ゲーム機がワンセグテレビになり、ゲーム機なのに、英語教材としてもナンバー1のシェアを握るようになった。

このようにカメラ、ゲーム、携帯、電卓、電子辞書、時計、電子手帳、音楽プレーヤー、互いに専門機器の壁を凌駕しはじめ、無線LANはそれらをつなぐインフラとなる。

その無線LANが届かないところを3Gの電話網で補完したのが、iPhoneである。
     
iPhoneから未来を予測する

アップルのiPhoneは、電話の名前がついた、iPodの形をしたパソコンであり、むしろ電話機能とiPod機能が付いたMacと考えたほうが正解だろう(電話はあくまでもオマケの機能と割り切るべきだ)。

iPhoneは、iPodとほぼ同等のサイズの中に、ソフトウエアキーボードとタッチパネルのディスプレイを詰め込んだパソコンである。あくまでもこれは完成形ではなく、約18ヵ月ごとに新たな新製品が登場するという途中経過のデバイスなのである。

最新のiPhoneである必要がない人は、次の機種、もしくは次の次を狙った方が得策であろう。まだまだ製品としての完成度は未知数であるからだ。しかし、iPhoneを使うことによって未来をインスパイアされる場面が多々あるからiPhoneはもう手放せない。

iPhoneでは、すでにキーボードもマウスも、ボタン入力機能も存在しない。
アップルのCEOスティーブ・ジョブスはもう、パソコンのキーボード(QWERTYキーボード)や、マウスでさえ、過去の遺物として考えているのだろう(2008年ではまだまだ必要なのだが...)。

それは彼が、人間の指や音声さえあれば直感的に、コミュニケートできる世界観を作ろうとしているからだ。残念ながら、今は人間のほうがiPhoneに歩み寄らなければならない時代であるが、それはいつか解決してくれる時がくるはずだろう。

iPhoneには、標準のアプリケーションとして株価が天気予報などと一緒に並んでいる。実際に株をやっていない人でも、テレビを見ていて、ニューヨークダウや日経平均が流れたときに、ちょっとワンクリックするだけで、その詳細がわかる。まるで天気予報と同じ感覚で、市場の動きが身近に感じることができるのは不思議な感覚だろう。明日は晴れそうだ。明日はトヨタが上がりそうだというノリに近い。


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