みなさんは、「予測市場(Prediction Market)」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
いろんな業界やトピックを、株式同様のマーケットとして見立て、それにより未来を予測するという試みのことである。株式というよりも、将来を予測して取引をするという意味では、むしろ「先物市場」に近いのかもしれない。 代表的なものに、米国の「ハリウッドストックエクスチェンジ(HSE)」がある。
当初は、これから流行しそうな映画がわかるかも?というゲーム的な要素であったが、フタを開けてみたら映画の専門家やコンサルタントよりも、的中率が高いということで注目を集めた。
ちなみに、アカデミー賞の受賞者を3年間にわたり88%以上的中させている。 |

映画に関するデータに投資できるハリウッドストックエクスチェンジ(HSE) |
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これからヒットすると思われる映画がランキングされている |
HSEの「予測市場」の仕組みは、映画の制作が発表された時から一般参加者が、取引に無料で参加し、リアルタイムで取引を行う。時価総額によって映画がランキングされ、ヒットの予感がリアルタイムで数値化される。つまり、映画や俳優に、常に「時価総額」というベクトルが付加されているのだ。自分が好きとか嫌いではなく、社会でヒットしそうかどうか?という客観的な判断を参加者が行っているところが特徴だ。
現在は仮想ポイントだが、2009年度内には、親会社がリアルマネーでの取引を計画中であるところも、映画の相場市場が生まれるのかもしれない。
http://www.cantorexchange.com/ |
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エンターテインメントやスポーツにおける新たな金融ビジネスの鉱脈になる可能性も秘めている。 今までの「市場予測」という手法は、すべてプロである専門家やアナリストなどの情報や経験値やネットワーク網によって構築し、発表されてきた。政府の統計データや調査会社のデータも尊重されてきた。
しかし、調査データは、過去の分析によって成り立っている。現在のものではないところが特徴だ。「予測市場」は、インターネットで個人が情報を共有化することにより、プロの専門家にも負けない情報力がサイトで共有され、リアルタイムで可視化されるようになりはじめ、「予測市場」の本当の意味を持ち始めた。
つまり、バイアスの深くかかった個々人の希望や願いではなく、市場はおそらくこうなってしまうだろう的な個人の深層的な客観判断による集合知が形成されるわけだ。
アンケート調査では、人々は一個人としての考えで答える。予測市場は、個人が個人としてではなく、人々がどう判断するかによって投資を考えているところが大きく違う。つまり、個人の意見というよりも、個人個人が客観的な判断を予測して判断し、投資をしていくという「仕組み」に特徴があるのだ。
さらにネットで仮想通貨やポイントを発行することにより、原資を必要としないサイト運営でいくつもの予測市場サイトが日本でも立ち上がりはじめている。
日本でも、静岡大学の佐藤研究室が運営する http://shuugi.in/ などが有名だ。
Shuugi.inでは、衆議院選挙は、2009年07月以降、民主党236議席、自民党180議席、公明党22議席と現在の株価の変動値をもとに、選挙時期や議席数が、予測されている。
新聞やテレビのアンケートによる、首相支持率調査よりも、より具体的な予測がなされている。しかも集計した後の結果発表ではなく、常に「相場」として、リアルタイムに変化しているところも注目したい。 |
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ベストセラーとなったジェームズ・スロウィッキーの「"みんなの意見"は案外正しい」でも、一握りの優秀な人よりも、「烏合の衆の平均値」のほうが正確であるという。
予測市場が成立する条件として、
1.ありとあらゆる意見の多様性、
2.他社から影響を受けにくい独立性、
3.個人それぞれの専門知識を用いた分散性、
4.多様な意見を集約するシステム性、
だという。
これは、まさしくネット時代だから実現可能な仕組みである。まさに「群衆の叡智」がもたらす傾向のようだ。
「大衆」という大ざっぱにくくられた集団が、一部の専門家たちに全てを委ねていた時代から、誰もが自ら参加するようになった今日、実社会のサンプル源に限りなく近づき、予測市場の精緻化が高められている。
すでに日本でも、「予測市場」のウェブがいくつか展開されている。
・あした新聞・あしたゲーム(http://prediction.jp/)
・新感覚リアルタイム未来予測ゲーム“miraix(ミライックス)”(http://miraix.com/)
・静岡大学佐藤研究室「こうなる」(http://kouna.ru/)
などが、いろんなトピックに関しての予測市場を展開している。 |

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コンピューター科学者のアラン・ケイ氏は、「未来を予測する最良の方法は、それを発明してしまうことだ」言ったが、誰もが未来を発明できるわけではない。そんな一般の人の未来への予測行動は、予測市場で自分の興味のある市場を形成することが一番近道なのかもしれない。
「予測市場」を活用した、「予測市場力」を今から身につけることにより、メディアにふりまわされる側の烏合の衆になるのではなく、メディアに影響を与える側の烏合の衆になる方法があるだろう。
まだまだ、はじまったばかりの「予測市場」の仕組み。参加登録が必要だったり、運用方法の難しさなど、敷居の高さも指摘されている。
参加人数が増え、さらに、インセンティブが増えれば、専門家の意見よりも、将来を予測できる可能性を「予測市場」は秘めている。
インターネットというテクノロジーが、大衆や烏合の衆と呼ばれていた民たちを、一気にインテリジェンスをもった集団に変えようとしているのかもしれない。
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