2009年11月19日号
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産業技術研究所の推進する災害軽減研究の一貫
「地震動マップ即時推定システム」
BCP(business continuity plan)とは事業継続計画の略称で、災害による影響度を認識し、発生時の事業の継続を確実にするため、必要な対応策を策定し、企業が事業継続に取り組む上で基本となる計画のこと。
予期せぬ出来事に対しての事前の基本計画を立てる事により、どんな最悪な状態でも事業を継続させるというのが、BCPのツボである。しかし、その計画自身が、「予期せぬ出来事を予期して…」いるのだから、どうしても概念的になりすぎてしまう傾向がある。
予期できない事は、具体的に表現しづらい。むしろ、予期せぬ出来事が起きた時に、どういう判断をなすべきかという認識を普段から習慣づけておくことが重要だ。
昔の家族にたとえてみよう。
昭和の時代、「ちゃぶ台がえし」という、オヤジの怒りが頂点を極める予期せぬ瞬間があった。ちゃぶ台と呼ばれるテーブルごと、食事がひっくりかえされてしまうのだ。「巨人の星」の父親、星一徹でもおなじみだ。最近はゲームセンターのゲームにさえなっているという。
一度オヤジが怒ったら、いくら正論であっても、さらにオヤジを怒らせてはならないという暗黙のルールとあうんの呼吸が家族の中では、形成されていた。
「BCP」がある訳ではないが、母はすぐにかたづけに入り、子供たちは自分たちの言動がなぜ逆鱗に触れたのかの反省モードに即座に正座で入り、オヤジの怒りを素直に受け入れる。これは、長い時間をかけて、同じ生活における目標ラインと役割分担がしっかりとなされているから可能なのだ。
しかし、企業のように、それぞれの経験や立場によって解釈のズレが生じていたり、役割分担が明確でないと、各自の判断による影響が現れる。しかし、現在の企業は今や、目に見えないたくさんの「ちゃぶ台がえし」に日々遭遇している。お客様であったり、社会であったり、景気であったり、疾病であったり、それらをできうる限り対応するのが本当のBCPなのだ。
帝国データバンク調べ2009年9月
予期せぬ事態の中でも、比較的予期できる事態は、新型インフルエンザなどの疾病対策だ。
インフルエンザが発生したら、そのウイルスに感染する現場にできる限り、接触しないことが最大の防御策だ。そして、最善の策は、通勤しない、会社に行かない、人混みに行かない。それでも、仕事が継続できる環境づくりにあるだろう。
サテライトオフィスなどの感覚ではなく、緊急時に、会社に行かなくても仕事ができる場所が必要だ。人と会わなくても仕事が進むという環境と関係づくりだ。当然、そんな時に考えられる場所はそんなにも多くはない。
ひとつだけ可能性のある場所がある。それは、社員それぞれの「自宅」である。
本来、安らぎ、くつろぎ、暮らすという家庭の場としての自宅を、疾病対策時には会社の一部として提供でき、かつ機能できるのかという社員の「自宅力」を一度、測定してみてはどうだろうか?
もちろんシステム的には、VPNやセキュアなネットワークで、ノートPCやVoIP電話で仕事が、できるハード環境は整備されつつあるだろう。しかし、そんなことよりも、一番重要で大事にしなければならないのは、家族間の協力なのである。
新型インフルエンザが蔓延したとすると、共働き世帯はもちろん、自宅が仕事場へと急変する、子供も学校閉鎖で自宅待機である。自宅には、盆と正月と会社と学校が、一気にやってくるのだ。これは予期できない事態である。
書斎を持っているような人は別格であるが、リビングやダイニングの共有スペースで仕事をするには家族の協力なくしてありえないだろう。そして、普段、家庭で貢献している人ならば肩身はせまくないだろうが、日中仕事で家にいないオヤジに平日のスペースはほとんど皆無だ。家族にとっては、父が突然自宅勤務となることそのものが、予測不能事態となる。
内閣府HP ワークライフバランスの実現に向けて
「自宅力」とは、「自宅力=オヤジ力×家族の協力指数の総和」で形成されている。
もはや「ちゃぶ台がえし」ができるようなオヤジのポジションは皆無だ。威厳も尊厳もなく、権限もない。そんなオヤジがBCPどおり、自宅で職務をこなすには?
ふと、会社以外に自分の場所がどこにあるだろうかを考えてみた?スターバックスやタリーズ、ネットカフェにそれを求める人がいるかもしれない。そう考えた時に、本当の「ワークライフバランス」が形成されていないと、自宅力はおろか、家庭での自分の居場所さえも見つからないことにはたと気づく。
そこで、BCP策定の際に、コストとして家族に対して、企業側が、社員のプライベートな自宅を借りうけるというような緊急オプションや、社員を支える家族に対しても、サービスをねぎらうような、本当の意味での「オヤジ力」を見せてあげるコストを計上しておくことも必要な時代なのかもしれないと思う。オヤジが会社から頼りにされているという具体的な可視化は、オヤジ力そのものを向上させ、するとその影響は、家族の協力指数においても増加するだろう。ひいては自宅力が向上し、それは家族全体の満足度にも影響することだろう。
それが、「家族向けオプションBCP」だ。もしかすると自宅の方が作業効率があがる人がいるかもしれないし、いろんな意味で企業の予期せぬ事態への対応力が現実に可視化され、予期できることになるかもしれない。何よりも、オヤジとしての「自宅力」が向上することにより、家庭でも、ひいては職場でも能力を最大限に発揮できるかもしれない。
そして、何よりも、オヤジというポジションの復帰が、家庭を地域を、ひいては、社会、環境、そして企業のポジションさえ大きく変えてくれるのかもしれない。
神田敏晶(かんだ としあき)
KandaNewsNetwork,Inc. 代表取締役
impress.TVキャスター
早稲田大学非常勤講師
プロフィール:
ビデオジャーナリスト。神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピューター雑誌の企画編集とDTPに携わる。その後、CD-ROMの制作・販売などを行った後に、1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。ビデオカメラ一台で、世界のIT企業や展示会取材に東奔西走中。
現在、impress.TVキャスター、早稲田大学非常勤講師、デジタルハリウッド特別講師、イノベーションラボ講師。2002年4月1日より法人化。
ホームページアドレス
http://www.knn.com
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