そうなると、給与よりも魅力的な仕事環境をアピールしなければならない。休日が多いとかフレックスタイム制度が導入されているとか、人事制度の工夫も必要だ。とはいえ、この程度はどの企業でも当たり前のこと。最近、新たに注目を浴びている制度に「在宅勤務」がある。これをうまく活用することで、中堅、中小企業でも大手に負けない魅力的な職場環境を構築できる可能性がありそうだ。大手よりも、むしろフットワークの軽い中堅、中小企業のほうが、この制度をより効果的に運用できるかもしれない。
「在宅勤務制度」、これはかっこよくいえば、「ユビキタスオフィス」だ。ネットワークの普及した現在では、満員電車に乗って毎日オフィスに出勤しなくとも、どこにいてもオフィスと同じレベルで業務が遂行できる。これを実現させ、自宅でもオフィスでも必要に応じて就業場所を自由に変化させるという制度だ。
実際に諸外国、とくに国土が広大で移動に時間がかかるようなところは、積極的に在宅勤務を推奨しているようだ。カナダのように冬に雪や寒さで通勤が困難になるところでは、この在宅勤務制度がなくてはならないものになってきているとか。
仕事、会社が第一優先だった時代から、個人の時間を大切にしたいという時代に変化していることは誰も否定しないだろう。片道1時間半では、1ヶ月に60時間あまりが通勤時間に費やされる。この時間を趣味や育児に使えたら、人生がどんなに充実することか。
介護が必要な家族を抱えているような場合は、もっと切実に時間を活用したいはず。これらの要求に対し、ICT(Information
and Communication Technology)の活用で家庭と職場の両立が容易にできるようになったのだ。
いまでは、大抵の仕事はPC環境があれば実現できるという人も多いだろう。シトリックス・システムズが提供するCitrix Access
Suiteやマイクロソフトのリモートデスクトップなどを利用すれば、会社のPC環境がセキュアに自宅に実現できる。これらの方法ならば、ノートPCを持ち歩いて盗難や紛失で情報漏洩なんてことにびくびくする必要もない。このほかにいるのが電話だ。携帯電話を支給する方法もあるが、これでは内線電話をとれない。IP電話を採用し適宜携帯電話に転送したり、ソフトフォンを利用して自宅のPCで内線電話に直接出たりという方法がある。これなら電話をかける側は、実際に相手がどこにいるかを意識する必要はない。
個人の仕事環境が柔軟になり得をするのは、従業員ばかりではない。地代の高い都会に、1人1台の机やスペースを確保せずに最低限ですませられれば、オフィスコストを大幅に削減できる。なによりも、ユビキタスオフィスで「働きやすい会社」というイメージを確立すれば、企業にとっては優秀な人材を獲得する強力な武器になるかもしれない。
|