2006年、「Web2.0」によって統括・再定義化されたインターネットサービスは、徐々にではあるが、本来の「インターネットの正しいあり方」を志向するようになってきている。インターネット上で起きていることは、もうすでにサイバーでヴァーチャルな世界ではなく、リアルな世界の延長として認識しておかなければならない。
数百年後の世界から見ると、現在のインターネット社会は、地球人類にとっての「共有すべき神経系シナプス」が、ネットによって一瞬にして繋がった時期に見えることだろう。それはまさに、「カンブリア紀」のように映っているに違いない。生物の進化史上、5億4300万年前のカンブリア紀は一大イベント期であった。
それまではゆっくりと進化していた生物たちが、この時期に、爆発的に多様になったと言われている。カンブリア紀の特徴として、太陽の活動の活発化と大気成分の変化が挙げられる。これらにより酸素が大量発生し、捕獲者(プレデター)と呼ばれる、酸素呼吸を取り入れて迅速に動くことができる生物たちが一挙に誕生した。また、嗅覚・聴覚・触覚などの感覚器官は緩やかに時間をかけて進化を遂げたが、視覚の誕生は爆発的な進化をもたらした。生物に「眼」が誕生したことにより、捕獲活動をコントロールできるようになったり、捕獲者を捕獲する新たな捕獲者が誕生し、捕獲連鎖の生態系も生まれたりしたのだ。最初の眼は三葉虫に備わった。また、三葉虫に捕食されないために、被捕食者にまでも眼が備わった。視覚が登場したことが、カンブリア紀生物の「門」を大きく広げたのである。
メディアにも、過去に爆発した時期があった。新聞が登場したことで、国民の識字率が向上し、視覚によるニュースの収集を可能にした。ラジオが登場したことで、聴覚によってリアルタイムに、しかも何か別のことをしながらでも情報を得ることができるようになった。しかし、これらは「視覚」や「聴覚」という人間の単一の器官を利用した情報の収集方法でしかなかった。しかし、テレビという「視聴覚」を使ったメディアが誕生したことにより、新聞や雑誌を購読していないお茶の間にまで情報伝達の手段が広がったのである。テレビ演説のおかげでケネディはニクソンを破ったが、皮肉にも衛星放送の試験放送の日、ダラスでケネディが暗殺されたことも世界中に「リアルタイムに」知れ渡った。テレビメディアは、音声と映像を組み合わせることによって、自分があたかもその場に居合わせたかのような「疑似体験」を可能にしたのである。
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