日本文化では積極的に相手に質問や疑問を投げかけると、相手に対し攻撃的または挑戦的になっているように思われたり、相手に不信感を持っているかのように取られてしまいがちです。
もちろん英語でも、やたら意味のない質問をたくさん浴びせることは相手に対して思慮や礼節に欠ける態度と受け取られます。しかし、あくまで「内容が十分に理解できない」、「しっかり内容を詰めておきたい」、もしくは「さらに話を意義あるものにしたい」という生産的な理由があれば、上下関係や顧客との関係を超えて積極的に質問することをよしとする文化が英語圏にはあります。これは「質問とは探求であり、みんなで探求してこそ真理に到達できる」というギリシア文化の影響が関係しているのかもしれません。
英語によるビジネスでは、このように質問や疑問を通じてより生産的に関与していくことで、さらに深い相互理解を図るという技術(言語文化?)があります。こうしたアプローチはアクティブリスニングと呼ばれています。平たく言えば「相互理解を深めるために積極的に相手の話を聞き出して応答する」技術、また「利害が対立した場合に違う角度から疑問を投げかけることで妥協点を図る」技術といえます。
アクティブリスニングの第一歩は、まず相手から意見を引き出すことから始まります。例えば、自社の流通システムに問題があり、みなさんが改善プロジェクトを指導しなければならない場合、そのシステムの管理者に相談するのは重要でしょう。しかし漠然と話をすればいいわけではありません。相手に質問する際にも曖昧な聞き方では先方も曖昧な答しか返すことはできません。
避けたい曖昧な質問例とは次のような質問です。
●How can you improve the distribution system?
どうすれば流通システムを改善できますか?
●What can we do with the distribution system?
流通システムをどうしたらよいでしょうか?
漠然としすぎていて、相手も具体的な回答がしにくくなってしまいます。こんな場合は、「どうすれば/どうしたら」とたずねるのではなく、相手がより意見を提示しやすくなる視点で、具体的なポイントを示しながら質問するといいでしょう。例えば次のような質問です。
●Can I ask if you think we can improve the distribution system?
流通システムを改善できるというお考えですか?
●May I ask what you believe the problem is with the distribution system?
流通システムは何が問題なのかをお伺いできますか?
このような場面では、よく、
Can I ask/May I ask/Could you tell me....?
といったフレーズや表現が使われるので、覚えておくと便利です。
日本人が陥りやすいもう一つの問題は、「多少分からなくてもまあいいか」として、分かったふりをして話を先に進めてしまうことです。しかし英語ではこれは一番まずいやりかたです。もし相手の言った内容が十分理解できなければ、曖昧なままにはせず、「分からないのでもう一度」と明確に言う必要があります。
実際、日本側が外国に仕事を外注し、外国側ば“No problem!”と言ったのを「完全に実現可能である」という意味だと判断し、その真意を明確に確かめずにいたところ、あとになって実現不可能なことが判明し、「相手に騙された」として憤慨した、という話をよく聞きます。しかしアクティブリスニングを行っていれば、こうした誤解も十分避けることができます。
ちなみに外国人はよく”No problem”を単に”Let’s try”くらいの意味でよく使うので注意してください。
相手の言ったことが理解できないことを伝え、繰り返し言ってもらう場合は下記のような表現が便利です。
●I’m sorry, I didn’t understand. Could you say that again, please?
すいませんが理解できませんでした。もう一度繰り返していただけますか?
●I’m afraid you’ve lost me here/
I don’t quite follow. Could you go over that again, please?
すいませんが混乱してしまったようです/よく分かりません。もう一度説明してもらえますか?
また理解を明確にしたい場合には、次のような表現を使うこともできます。
●May I ask what that means exactly?
それは厳密にはどういう意味なのかたずねてもいいですか?
●Sorry. I’m not familiar with the term~
すみません。~という用語はよく分からないのです。
また相手の話に漠然としているためさらに具体的な情報が欲しい場合には次のように聞きます。
●Could you be a little more specific about it?
もう少し詳しくお願いできますか?
●Could you please explain that in further detail?
もっと詳しく説明していただけますか?
●Could you go into a little more detail?
もうすこし詳しく説明していただけますか?
次回のコラムでは、明確に理解するため、相手の話を中断したり、自分の理解を相手に確認する表現などについて特集します。
