次世代型AIチャットボットソリューション「AiCB」導入事例株式会社NTTドコモ様

2022年09月12日

  • お客さま導入事例
  • AI

問い合わせサポート業務のDX推進策として次世代型AIチャットボットを導入。顧客の声をサービス改善に生かし、さらなる事業進化を目指す

2022年1月にエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社とエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社を子会社とし、組織を再編成した株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)。事業成長の牽引役としてさらなる成長が期待されるスマートライフ領域(金融・決済、映像・エンタメ、ヘルスケア・メディカル、XRなど)における、既存事業の強化や社会にインパクトを与える新たなビジネスの創出に取り組むスマートライフ戦略部は、問い合わせサポート業務のDX推進策として、次世代型AIチャットボットソリューション「AiCB(エーアイシービー)」をユニアデックスから導入。問い合わせ受付の一元化と自動化を推進し、これまで以上に率直なお客さまの声を多く収集、継続した分析によりサービス改善業務へのリソースシフトが実現した。

  • 株式会社NTTドコモ
    スマートライフ戦略部
    カンパニー事業推進
    担当部長
    斎藤 剛氏
  • 株式会社NTTドコモ
    スマートライフ戦略部
    カンパニー事業推進
    担当課長
    神安 由之氏
  • 株式会社NTTドコモ
    スマートライフ戦略部
    カンパニー事業推進担当
    小谷 勇太氏

導入前

  • 顧客に提供する情報やサービスが変化する中、多岐にわたるサービスを各主幹部門がそれぞれ運営していることもあり、継続的な情報の更新が難しく、キャンペーンなどの最新情報やFAQ情報発信に遅滞が発生
  • お客さまからの声をタイムリーに分析してサービス改善に生かしたい

導入後

  • メンテナンスに負荷がかからず、たらい回しの防止やFAQ の情報鮮度を保つことが可能に
  • これまで以上に率直なお客さまの声を多く収集、継続した分析によりサービス改善業務へのリソースシフトが実現

問い合わせサポートの自動化

経緯

カスタマーファーストの実現を目指し、社内DXを推進
問い合わせサポート業務改革と共通基盤構築に着手

スマートライフ戦略部カンパニー事業推進担当部長の斎藤剛氏は、同部に課せられたミッションを次のように話す。「新しいコミュニケーション文化の創造からスタートしたスマートライフ事業は、2022 年7月から社内カンパニー制を導入し、柔軟でスピーディーな経営の実現により成長の加速とさらなるカスタマーファーストの実現を目指しています。カンパニー事業推進としては社内DXを推し進め、各サービス部門が顧客貢献に集中できるよう、グループとしてのガバナンスを保ちながらサービス品質の向上や収益改善に貢献する、業務基盤の整備に取り組んでいます。」
 
斎藤氏は「スマートライフ事業はさまざまなつながりや価値を求めて多くの事業を立ち上げてきた結果、小さな商店が乱立したような状態になっています。これまでは個々のビジネスで売上を伸ばす視点で済みましたが、それでは限界があります。たくさんあるポートフォリオに横串を刺して、一人一人のお客さまがどう感じておられるのかを、トータルで見ることができる世界を作ろうとしています。」とした上で、「今回のAIチャットボット導入はその施策の一つであり、業務を効率化しコストを削減するだけに留まらず、お客さま理解を促進し、顧客満足とLTVを高める重要な位置づけと捉えています。」と語る。
 
同部 カンパニー事業推進担当課長の神安由之氏は、従来の課題を次のように話す。「各サービス主幹は日々多くの業務に追われ、最新情報などのFAQ更新やお客さまからの問い合わせ内容をタイムリーに分析してサービスの改善に生かすといった活動に注力できない状況にありました。そのため、FAQサイトでキャンペーンなどの最新情報が分からない、サービスの問い合わせ先が分からない、問い合わせ時にたらい回しにされるといったお客さまの不満につながっていました。」
 
同部はこうした課題を解消するべく、「問い合わせサポート業務のDX推進」に取り組んだ。これまでは各サービス主幹が個別に対応していた問い合わせサポート業務を部内チームに集約。その上で業務プロセスを標準化、さらには最適化し、人手を介していた作業の一部についてRPAによる自動化も進めた。
 
そしてこれらに加えて、問い合わせ受付の一元化と自動化に向けた、共通基盤の導入に着手する。神安氏は「お客さまが24時間365日、知りたいことをすぐに自己解決できる仕組みを実現するには、入口としてのAIチャットボットと、問い合わせ情報を管理するプラットフォームを組み合わせて自動化する、共通基盤として整備する必要がありました。その目的は、大きく3つ。1点目は問い合わせ時のお客さまのたらい回し防止。2点目はメンテナンスに手間をかけず、情報鮮度を保つこと。3点目は、お客さまの問い合わせによる生の声を、タイムリーに分析することです。これまでもチャットボットは利用していましたが、各サービスでバラバラのツールであり、さらにシナリオ型だったためFAQを常に整備し続ける必要があるなどの運用負荷が高く、課題を抱えていました。」と語る。

プロセス

課題感を深く理解した提案と機能性を評価し、「AiCB」を採用
さらに高い回答精度を目指し、粘り強くチューニングを重ねる

2020 年8月、ドコモは20数社にRFPを開示して、AIチャットボットに関する入札を実施。各社から寄せられた提案の中で目に留まったのが、ユニアデックスが提案した、次世代型AIチャットボットソリューション「AiCB」だった。
 
同部 カンパニー事業推進担当の小谷勇太氏は、当時の印象を次のように語る。「提案書を見た時点で、我々の思想に近いサービスだと感じました。数多くのサービスを横断して回答できること、情報鮮度を保つためのWebクローリング機能、問い合わせログの分析機能などの要件をすべて満たしていましたし、なによりAIによる自動生成で、シナリオの新規作成やFAQを更新するといったメンテナンス負荷がかからない点が魅力的でした。」
 
ドコモは比較検討を重ね、本サービスの採用を決定。小谷氏は「AiCB」の選定理由を、こう明かす。「ユニアデックスは開発元のPOL(ペネトレイト・オブ・リミット株式会社)社と共同で、我々の課題感と求める要件を深く理解して適合度の高い提案をしてくれました。SaaS型で早期に構築できるメリットを生かし、提案段階で早々にモックアップを作ってきたスピード感にも驚きました。そのおかげで、お客さまへの回答の精度とともに導入と運用の負荷をなによりも気にする各サービス主幹部門への説明もスムーズで、実際に展開する際のイメージも沸きました。」
 
構築期間は約3カ月。対象となるWebサイトをクローリングして読み込み、お客さまから寄せられる質問に対しどう回答を返すのか、どのようにログを解析してサービス向上に役立てていくのかという仕組みを整える作業は、カンパニー事業推進メンバーが中心となりユニアデックスとPOL社の支援の下、実行された。
 
神安氏は「事前に回答を用意するシナリオ型ではないのでAIを活用して、複数のサービスをまたいでドコモ特有の用語なども考慮していかにチューニングし、回答の精度を高められるかが肝でした。各サービス主幹の負担とならないよう、まずは我々側である程度の形を作り、およその形が整ったタイミングで声をかけました。そこから回答の順序など、精度を高める調整を繰り返しました。直接、お客さまの目に触れるものですので中途半端なものでは許されません。粘り強く最後まで何度もテストを繰り返しました。」とその苦労を語る。

効果・今後

想定以上に多くのお客さまの声が得られ、サービス改善に注力できる
問い合わせ受付の一元化と自動化により、さらなる事業進化を目指す

こうして活用がスタートしたAIチャットボットは、2022年5月末現在、11サービスで稼働している。サービス改善の効果としてお客さまからのWeb問い合わせ件数は減少し、約5割減となったケースもある。一方、チャットボットによる回答数は従来の約1,000件から約12,000件、12倍に増えたサービスもあるとのこと。
 
小谷氏はこの結果をこう評価する。「Webフォームに問い合わせる程ではないものの、実は困っていたお客さまが多かった表れだと捉えています。気軽に問い合わせられる新たな窓口を設置できたことだけでも一つの価値です。また、従来型のシナリオ型チャットボットではこちらが想定した質問をお客さまが選ぶだけでしたが、『AiCB』はフリーフォーマットで自由に入力できます。想定していなかった質問や率直な声が寄せられて、新たな気づきがたくさん得られます。各サービス主幹としても、これまでは早く回答しなければ、ということに稼働が集中していましたが、導入後はお客さまからいただいた貴重な声を受け止め、たとえばFAQを充実させる、新規ページを作成するといったサービスの改善活動に時間がさけるようになりました。」
 
この取り組みは2022年5月、事業成長に非常に大きな価値を資すると評価され、「スマートライフビジネス本部長表彰」を受賞。ドコモでは今後、本システムをスマートライフ事業全体の共通基盤として、問い合わせ受付の一元化と自動化をさらに進めていく予定だ。神安氏は「これまでに得られた知見により今後、他のサービスへの展開時には当初から高い精度が得られる期待があります。お客さまに関する情報や業務を集約することでシステムと業務プロセスを標準化させて、自動化サイクルを回しながら進化させつつ、お客さまの声の分析を通じて、ドコモが一体となってお客さまに向き合える環境を作り上げたい。将来的にはお客さまIDと紐づけして、個別のサポートを提供できれば、とも考えています。」と語る。
 
最後に斎藤氏は、今後の展開とユニアデックスへの期待について、次のように結んだ。「チャットボットは性能や業務効率に目を向けがちですが、お客さまの声をたくさん拾えることが、我々にとっての成果です。事業を進化させるためにはお客さまの声が必要であり、多くの予兆や気づきを得られる価値は、非常に大きい。『AiCB』はまだまだ成長できるサービスであると認識しています。ユニアデックスにはこれからも、機能追加や拡充により、我々の描く問い合わせサポート自動化構想の実現に向けて協働いただけることに期待しています。」

お客さまの評価

導入しやすく、多くの気づきを得られる価値の高い仕組み
これからも我々の成長を支援するサービス提供に期待

DXを推進するにあたり、現場が導入しやすいかどうかは非常に重要なポイント。その意味で今回の仕組みはそこをクリアした上で、事業の成長に欠かせないお客さまの声をこれまでより多く受け入れられ、多くの予兆や気づきを得られる価値は大きい。ユニアデックスにはこれからも、我々の成長を支援するソリューションとサポートの提供と協働に期待しています。(斎藤 氏)

目標に向かいワンチームで取り組む姿勢を評価
高い回答精度の実現に満足

ユニアデックスとPOLは、我々とワンチームで課題解決に取り組んでくれました。特に我々がこだわる回答精度については、我々やサービス主幹の要望を聞き入れ、緻密なチューニングを繰り返すことで実現してくれました。サービスイン後も、密なコミュニケーションで寄り添っていただき、機能の追加修正や我々が実施するチューニングへの手厚い支援により、高い精度を保つことができており、満足しています。(神安 氏)

課題への理解力と一緒に考える姿勢に感謝
これからもともに、あるべきお客さま対応の形を模索していきたい

ユニアデックスからは課題感への深い理解力を基にした寄り添い型の提案をいただき、新たな課題が生まれた際も一緒に考えてくれる姿勢がありがたかったです。その結果、当初描いていた業務効率向上の成果に加えて、お客さまのことを知るサイクルをともに作り上げることができました。変化が激しい社会環境の中、これからも一緒に、あるべきお客さま対応の形を模索していきたいと思います。(小谷 氏)

2022年07月取材

Profile

本社所在地
東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー
設立
1991年8月14日 資本金:9,496億7,950万円
従業員数
8,847名(当社グループ46,506名)(2022年3月31日現在)
事業内容
●通信事業
携帯電話サービス(5Gサービス、LTE(Xi)サービス、FOMAサービス)、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、国際サービス、各サービスの端末機器販売など
●スマートライフ事業
動画配信・音楽配信・電子書籍サービスなどのdマーケットを通じたサービス、金融・決済サービス、ショッピングサービス、生活関連サービスなど
●その他の事業
ケータイ補償サービス、法人IoT、システム開発・販売・保守受託など
  • 記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
  • 自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。