佐世保中央病院は電子カルテなど、医療を支える大部分の業務システムを内製化しており、ICTにおいて技術とノウハウがあるが、システム更改を前にさまざまな問題が発生していた。「業務システムの動作速度の遅さが顕著化していました。とくに外来で混雑する月曜日の午前中はアクセスが集中するため、電子カルテが非常に遅くなることがありました。それを改善するために、半年に1 回はソフトウエアのパフォーマンスチューニングを行っており、その時間を無くしたいと考えていました。また、速度の問題で週1 回のバックアップが業務時間にずれ込んでしまうこともありました。時間をずらすなどして対応していましたが、そもそもはバックアップ時間の
短縮化が必須でした。」(医療情報本部 システム開発室 課長 南里 忠広 氏)
同院がシステムの更改に向けて求めたのは、電子カルテおよびデータベースのパフォーマンスアップ、バックアップ・レプリケーションのスピードアップ、バッチ処理のスピードアップだ。「これらを実現するため、ハードウエアに求めたのは仮想化・基盤統合に加え、データベース用ストレージのSSD化です。まずはハードウエアで性能を上げたいと考えました。」(南里氏)
「重視していたスピードについては要件がSSDだったため、どのベンダーもクリアしていました。そのなかで、データベースのアセスメントを行ない、レポートを当院に提出していただきました。これまでのログ情報を参照してボトルネックをチェックし、既存ストレージが影響している部分を精査。新システムにすれば、どの程度のスピードアップが見込めるかというアセスメントでした。我々も数字について納得することができました。」(医療情報本部 システム開発室 次長 竹谷 貴海 氏)
構築は2019年6月中旬から8月までで完了。多少のトライアルアンドエラーはあったものの、おおむね順調に進み、カットオーバーに至った。
「ダウンタイムはほとんどなく、切り替えの時間は約1 時間半で済みました。もちろん、切り替えは平日を利用しましたが、ダウンタイムが長くなれば患者さまの入院を制限する必要があり、救急の受け入れも難しくなります。患者さまにご迷惑をかけずに切り替えることができたのは本当に良かったと思っています。」(理事 副院長 医療情報本部長 地域医療連携センター長 医学博士 平尾 幸一 氏)
サーバーの更改後、同院では業務システムの速度が確実に速くなったと感じている。例えば、月曜午前中に発生していた高負荷状態による電子カルテの遅延はなくなり、現在は快適に動作している。「電子カルテの表示も健康診断システムの予約も待たされることがなくなりました。長い処理ほど速くなっている印象です。」(南里氏)
「夜間バッチ処理も速くなりました。以前に比べ4割程度の時間で処理が終わります。月に1回行っているサーバーのメンテナンス作業も効率的になりました。以前はデータベースのサーバーをダウンさせるまで約25分かかっていましたが現在は約5分。コマンドプロンプトで行う作業も煩雑でしたが、簡素化された現在はSEの手間がなくなりました。今は別の場所のメンテナンス作業に時間を割くことができます。」(医療情報本部 システム開発室 主任 久保 孝志 氏)
「今後、同法人系列の白十字病院(福岡市)でも同様のサーバー更改を行う予定です。その白十字病院ではダウンタイム30分を目指しています。また、将来的には福岡-佐世保間のデータ転送により、お互いバックアップし合う環境を構築する予定。まずはデータを失わない仕組みづくりに重点を置いています。」(竹谷氏)
「ユニアデックスとは画像システムのハードウエアメンテナンスでお付き合いがありました。今回は担当営業やSEの方々に大変ご尽力をいただきました。本当に対応が素早く誠実でした。白十字病院もよろしくお願いします。」(平尾氏)
「ユニアデックスのサポートはしっかりしています。電話で伺ったところ、まずは切り分けを行い、スムーズな段取りでこちらの不明点をクリアにしていただきました。今後も当院を支えるパートナーとして期待しています。」(竹谷氏)
「ユニアデックスにはピュア・ストレージと連携し、スムーズなデータ移行を行っていただきました。とくに新しくデータを投入するときは爆速で驚きました。フルでSSDの性能が発揮できるシステムになれば、データ移行専用ツールは必要ないかもしれません。今後もユニアデックスとピュア・ストレージの優れた協業に期待しています。」(南里氏)
「これまではソフトウエアのライセンス費用が高かったため、今回はこの部分のコストダウンを目指しました。その分、ハードウエアには費用を注ぎましたが、トータルでのランニングコストは削減できたと思っています。そういう意味では、今回のユニアデックスの提案構成は非常に満足のいくものでした。」(久保氏)
2019年9月取材
理事 副院長 医療情報本部長 地域医療連携センター長
医学博士 平尾 幸一 氏
医療情報本部 システム開発室
次長 竹谷 貴海 氏
医療情報本部 システム開発室
課長 南里 忠広 氏
医療情報本部 システム開発室
主任 久保 孝志 氏
所在地:長崎県佐世保市大和町15
設立:1929年(昭和4年)
病床数:312床