テレワークか出社の二択ではなく、
ハイブリッドワークが主流となるのか?

出社/テレワーク以外の選択肢を模索する。

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2023年10月27日

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2023年5月から、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類相当から5類感染症に変更になりました。それまでの法律に基づく行政の要請・関与から、個人の選択を尊重し、国民の自主的な取組をベースとした対応へ変更となりました。

 
海外の動向をみると、ビデオ会議システムの「Zoom(ズーム)」を提供する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは8日までに、一部の従業員に週2回の出社を要請しました。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中にリモートワーク革命を推進したZoomがオフィス復帰を求めることとなり、話題を呼んでいます。
Zoomは声明で、同社は「構造化されたハイブリッドなアプローチ」を実施していると説明。職場の近くに住む従業員は「週2回出社する必要がある」と述べ、それが会社にとって最も効果的だとの認識を示しました。*1
Meta(旧Facebook)は、リモートワーク採用の従業員はリモートワークのままでいられるとしながらも、オフィス通勤採用でリモートワークをしていた従業員は2023年9月から週3日の出勤開始になると報じられています。*2
 
*1 CNN「 米ズーム、一部の従業員にオフィス復帰を要請 週2回の出社求める(2023/8/8)
*2 CNN「 Silicon Valley escalates the battle over returning to the office (2023/6/10)

上記は、パーソル総合研究所がポストコロナにおけるテレワークの実態について定量的に把握することを目的として、2023年7月13日~18日に行った3万人規模の調査です。2023年7月時点のテレワーク実施率は、正規雇用社員で22.2%。2022年同時期の25.6 %から微減(-3.4ポイント)。2020年4月以降で最も低くなりました。

 
弊社では部署によってバラつきがありますが、直近の平均で約8割の従業員がリモートワークを活用しています。テレワークではコミュニケーションが不足するといった点がよく指摘されますが、メンバーの出社日を合わせコミュニケーションデーをつくることやランチ・懇親会をするなど、コミュニケーションの向上を図ってきました。また、多くの社員が出社/テレワークを柔軟に選択できることが自身の働く幸せにつながるため、働く場所の選択性は重要であると考えているようです。
 
IT企業という特性上、弊社ではコロナ禍が収束してもテレワーク率が高いのが現状ですが、今後テレワークの縮小傾向は続いていくのでしょうか。ある会社の例では、出来る限り出社の方針に切り替え、週1テレワークのみ認められている部署もあります。子供の行事や病院等予定があればテレワークでもOKですが、予定がないなら基本的に出社とのことでした。こうした方針について意見をうかがうと、「個人としては出社の方針はやや不満。出社は移動時間で働く時間が削られる。組織としては出社して部下を隣で見ていた方がよい。」とのことから、組織の方針と個人の働き方にギャップがあることが垣間見えました。
 
個人の働き方としてはプライベートや私生活を充実させたい一方で、先に挙げたZoomの例のように、組織としてはコミュニケーションなどの面から出社へとシフトする会社が増加しています。Zoomの例はいわゆるハイブリッドワーク(出社/テレワークを組み合わせた働き方)ですが、全面的に出社へと回帰させるのではなく、部分的な出社を従業員に促すこともコミュニケーション不足解消など業務の生産性向上を図るうえで有効な手段といえるかもしれません。
 
私個人の意見としては、全面的に出社へ回帰していく流れは従業員からの反発を招くのではないかと懸念しています。全面的に移行させるのではなく、個人の働き方に対する意見を踏まえある程度のテレワークを認めていくことが、結果として個人の柔軟な働き方への尊重につながるのではないかと考えます。
 

パーソル総合研究所が調査したグラフを見ると、正社員の81.9%がテレワークの継続希望意向を示しており、年々増加していることがわかります。一方で、前述した通り、テレワークのみではコミュニケーション不足が課題にあげられます。テレワークを行っている際には、以前ご紹介したバーチャルオフィスツールを取り入れることが考えられます。しかし、バーチャルオフィスを使用している際には常にイヤフォンを装着する必要があることや、利用環境によっては音声トラブルなど技術的課題が発生することにも留意する必要があります。バーチャルオフィスツールのほかにも、テレワーク時にはコミュニケーション不足とならないよう、Microsoft Teamsなどのチャットツールを積極的に活用できる風土を醸成することが重要であると考えます。

 
テレワークか出社の二択ではなく、ハイブリッドワークという選択肢も従業員の意見を尊重する上で重要ではないでしょうか。弊社も今後の働き方の動向に注視しながら、個人の選択を尊重できる働き方とはどのようにあるべきなのか、改めて考えていきたいと思います。
 

 (未来サービス研究所 須藤佑理)

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