パネルディスカッション2023
現地SIerが暴く、海外拠点のIT事情の真実(第1回)

~グローバル企業の死角を狙うサイバー攻撃。いま必要なこと~

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2023年12月11日

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こんにちは、ユニアデックスグローバルセミナー事務局です。
今回は、2023年9月13日にオンライン開催したパネルディスカッション「現地SIerが真実を暴く、海外拠点のIT事情~グローバル企業の死角を狙うサイバー攻撃。いま必要なこと~」の内容を3回に分けて、皆さまにお届けします。中国、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム計6カ国の現地SIerをパネリストに迎えて、各国のIT事情についてディスカッションしました。

第1回は、弊社が2023年6月に開催したオンラインセミナー「海外子会社に狙いを定めるランサムウエア攻撃!今こそITガバナンスを見直すとき」の参加者が回答したアンケート結果を中心にご紹介します。

パネリストの紹介

パネルディスカッション参加メンバー

(写真上段左から)
ネットマークス・上海 宮崎総経理
ネットマークス・フィリピン レイモンド社長
ネットマークス・ベトナム タイン副社長
ネットマークス・ベトナム 中元セールスアドバイザー
ネットマークス・インドネシア タオフィックCEO
(下段左から)
ネットマークス・インドネシア 佐々木COO
ネットマークス・タイランド 鵜飼マーケティングマネジャー
ネットマークス・シンガポール 牧原営業部長
ユニアデックス 三浦 グローバルビジネス推進部グループマネジャー
ユニアデックス 山田 グローバルビジネス推進部室長(ファシリテーター)

海外に進出している企業の課題

パネルディスカッションウェビナー①
山田/ユニアデックス・ファシリテーター(以下、山田)

弊社が6月に開催したオンラインセミナー参加者のアンケート結果から、お客さまが共通の課題を抱えていることがわかりました。本日ご参加いただいている皆さまにとっても、「自分たちだけでなくほかの企業も同様の課題を抱えているのだな」と再認識頂き有益な情報になるかと思います。

パネルディスカッションウェビナー①
三浦/ユニアデックス・グループマネージャー(以下、三浦)

海外拠点におけるITガバナンス強化は、特に最近のランサムウエア攻撃などの影響から、非常に高い関心を集めています。9月に開催したセミナーで実施したアンケート項目から、3項目をご紹介します。

1. 海外展開における課題や要望をお聞かせください
多くの回答者が、海外拠点において「ITガバナンス」と「セキュリティーガバナンス」、「複数拠点管理」を課題として回答しています。また、少数ながら「IT要員確保」も課題となっています。これは、コロナ禍(Covid-19)に現地から帰国したIT担当の日本人が、新型コロナウイルス感染拡大による入国制限の緩和後も、なお現地に戻ることができず、現地でのIT管理が困難になっているという事実が浮き彫りになりました。 

海外展開における課題や要望をお聞かせください 棒グラフ
海外展開における課題や要望をお聞かせください 円グラフ
弊社が6月に開催したオンラインセミナー参加者アンケート結果①

2. 海外拠点のITインフラ状況を把握していますか?
14名が「定期的に状況を把握している」、9名が「過去に実施したことがある」ということで、半数以上のお客さまが海外拠点の状況を把握していることがわかりました。一方で、14名から「把握していないが、本セミナーを受講して、あらためて把握する必要性を感じた」という回答いただきました。これは私たちにとっても、セミナー開催が有意義であったと実感しました。

海外拠点のITインフラ状況を把握していますか 棒グラフ
海外拠点のITインフラ状況を把握していますか 円グラフ
弊社が6月に開催したオンラインセミナー参加者アンケート結果②

3. 海外拠点のインフラ構築や改善の予算はどちらが持っていますか?
日本側で予算を負担しているのは少数であり、半数以上が現地側で負担していることが明らかになりました。予算の確保や現地の立場からの意見について、このあとで、パネリストに伺ってみましょう。

海外拠点のインフラ構築や改善の予算はどちらが持っていますか 棒グラフ
海外拠点のインフラ構築や改善の予算はどちらが持っていますか 円グラフ
弊社が6月に開催したオンラインセミナー参加者アンケート結果③
パネルディスカッションウェビナー①
山田

本セミナーへご参加の皆さん、アンケート結果をご覧になって、どのようなことを感じているでしょうか? 「うちの会社と課題が似ているな」、「予算確保で困っているんだよな」という方々もいらっしゃるでしょう。昨年から今年にかけて、特に、複数の海外拠点を管理することに困っているというお客さまもいらっしゃるのでしょうね。やはり、お客さまとの会話の中で「セキュリティーガバナンスを、今後どのように解決していくべきなのか」という課題が取り上げられていると思いますが、三浦さん、いかがでしょうか?

パネルディスカッションウェビナー①
三浦

現在、海外拠点の工場はフル稼働で活性化していますが、日本のIT部門からみると、不安を感じます。ITを利用しているにも関わらず、管理ができていないからです。 また、各業界や団体からのセキュリティー強化要請(サイバーセキュリティー経営ガイドラインなど)に対応するために、海外拠点の現状を把握しなければならないと感じているお客さまが増えています。

パネルディスカッションウェビナー①
山田

コロナの影響で企業活動が停滞していましたが、現在は復活してきており、さまざまな問題が現地で顕在化してきているようですね。 ところで、現地の状況について詳しく聞いてみたいと思います。日本の状況と、中国の状況が同じなのかどうか、宮崎さん、いかがでしょうか?

パネルディスカッションウェビナー①
宮崎/ネットマークス・上海

中国の状況も今回のアンケート結果とほぼ同じですね。しかし、ITガバナンスとセキュリティーガバナンスの対応は大変だと感じています。 その要因として、言葉の壁や、日本との距離などがあります。たとえば、現地に専任のIT担当者がいない場合、日本からの出向者が現地でIT管理業務も兼務していることがあります。その出向者に十分なITの知識やスキルがなければ、日本から現地のシステムの状況を正確に把握できないという課題があります。 また、中国のゼロコロナ政策が終わっても、現在(2023年9月時点)、日本人に対するビザ免除措置は再開していません。そのため、日本から中国への視察も難しい状況です。

パネルディスカッションウェビナー①
山田

政治的な背景を含めていろいろな課題がありますね。人材不足から、タイムリーな対応が難しいこともあります。また、ガバナンスの強化もハードルが高いですね。 地政学的な理由や予算の制約もあり、厳しい状況が続いていると感じました。では、中元さん、ベトナムはいかがでしょうか。

パネルディスカッションウェビナー①
中元/ネットマークス・ベトナム

ベトナムの状況も今回のアンケート結果とほぼ同じですね。 現地側が予算を持っている場合、Wi-Fi導入、ネットワークやサーバーの機器更新、PC調達など、日々の業務への投資が優先され、日本側が求めるガバナンス対応への予算が十分に割り当てられていません。

パネルディスカッションウェビナー①
山田

業務に直結する部分へのIT投資は行われていますが、セキュリティーなど業務に直結しない部分に対する予算については、まだ十分に割り当てられていないということですね。中国もベトナムも、問題意識はあるものの、予算や人材的不足、さらに政治的な背景など、さまざまな観点でハードルが高いと感じました。鵜飼さん、タイはいかがでしょうか。

パネルディスカッションウェビナー①
鵜飼/ネットマークス・タイランド(以下、鵜飼)

タイでもアンケート結果とほぼ同様の傾向です。特に、タイの日系大手製造業などでは、IT人材が現地化されています。しかし、中華系や欧米系などのグローバル企業との競合が激しく、IT関連の人材確保が非常に難しくなってきています。また、せっかく人材確保しても、条件のよい企業にすぐに転職してしまうので、社員が定着しにくいのが現状です。

パネルディスカッションウェビナー①
山田

中長期的な取り組みを行うことは、かなりのハードルが高いあると感じられているとのことですね。タイでも、IT人材の確保の問題が浮き彫りになっているようですね。

第2回に続く

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