セキュリティネットワーク構築事例長崎県立大学様
2023年07月01日
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産学連携の拠点「情報セキュリティ産学共同研究センター」新設に伴う、システムとネットワーク基盤の全面的な更改を実施


日本初の情報セキュリティ学科を有し、セキュリティ人材の育成に注力する長崎県立大学。今回、新たに設置した「情報セキュリティ産学共同研究センター」は、学生と企業との交流および共同研究など、より実践的な教育を提供する産学連携の新たな拠点として、高い注目を浴びている。本センター新設に伴う基盤更改を、前回に続いてユニアデックスが担当した。
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長崎県立大学岡田 雅之氏
情報システム学部
情報セキュリティ学科
教授 / 博士(工学) -
長崎県立大学赤瀬 和雄氏
情報システム室 -
長崎県立大学寺方 聡氏
情報システム室
導入前
● センター新設に伴い、演習システムおよびネットワーク基盤の全面的な更改を実施
● 最先端のセキュリティ演習を提供するため、高い安全性、柔軟性、可用性が求められる
● 従来環境の課題を払しょくするべく、パフォーマンス強化が必要
導入後
● 通信事業者クラスのインターネット環境と、「データセンターファシリティスタンダード※ ティア(Tier)3」相当の設備を構築
● ラック点灯や吸排気モジュールなどの追加要件も含め、遅滞なくプロジェクトを完了
経緯
新たな学び・共同・創造の場としての
情報セキュリティ産学共同研究センターを新設
プロセス
マルチベンダーの実務的な機器構成を実現
従来課題を解消するパフォーマンス強化も実現
演習室基盤システムおよびネットワークの更改に向けてユニアデックスは、同大学が入札仕様書で示した要件を踏まえ、週次に加えて個別協議を継続して実施。既存環境の課題や改善点を整理した上で各製品を選定し、設計および構築を進めた。
セキュリティ演習という特殊目的において最適かつ最新の環境を実現するため、前回に引き続きパフォーマンス、安全性、柔軟性、可用性のすべてにおいて、高い水準が求められた。同大学の演習基盤は、学生が演習用仮想マシンを生成するためのプライベートクラウド、演習用ネットワーク、サイバー攻撃や不正アクセスの検証・研究を行うためのフォレンジック用ネットワークから構成される。今回の更改でもこの基本構成を踏襲し、運用は大きく変えずにパフォーマンスを強化することを方針と定めた。機器選定の際、同大学が重要視したのはアカデミックに偏り過ぎない、マルチベンダーの実務的な構成だったという。
情報システム室の赤瀬和雄氏は、「我々が学生に提供したいのは、現場で役立つ実務的な体験。そのため、できるだけ現実社会に普及し活用されている機器をマルチベンダーで、かつきちんと統制が取れる構成にしたい。このことは、世界的な半導体不足などによる調達の難しさがある中では厳しい要件でしたが、ユニアデックスは週次の定例や個別協議を通じて常に我々に寄り添い、メーカー各社とも円滑にコミュニケーションしてプロジェクトマネジメントを遂行、最適な組み合わせを提供してくれました」と語る。
パフォーマンスの強化においてはストレージが重要なポイントだったと、情報システム室の寺方聡氏は次のように話す。「講義では、学生がプライベートクラウド上の仮想環境で仮想マシンを構築(プロビジョニング)するところから行うのですが、クラスの全員が一斉に行うとストレージ負荷が高まり、時間内に終わらないという課題がありました。そのため今回、新たにエンタープライズ向けのインテリジェントなオールフラッシュストレージのDell PowerStore 9000Tを採用し、従来比で約2.5~3倍のパフォーマンスと圧縮率を実現しました」
そして今回、大学単独設備としては稀少な通信事業者クラスのインターネット環境と、データセンターファシリティスタンダード ティア(Tier)3相当の設備を構築した。この狙いを岡田氏は、「演習用ネットワークにJuniper NetworksのハイパフォーマンスルーターMX204を2機導入しました。グローバルの大手通信キャリアで採用されるハイエンドな機器に触れる経験は、学生にとって社会に出た後も大きな武器となるだけでなく、共同研究に参画してくださる企業にとっても、魅力に感じていただけるでしょう」
これらに加え、センターの新規建設と並行して進められたことも、本プロジェクトの特筆すべきポイントだ。建物の竣工および記念式典の日程が計画時に決まっており、遅滞は許されなかった。「サーバー室が未完成の状況で、図面から室内の様子を読み取って進めなければなりませんでした。電源位置や設備が計画と異なるなど、現場での対応力も求められました。ユニアデックスの担当者はその都度、関連業者と積極的にコミュニケーションを取り、うまく進めてくれました」
長崎県立大学様 システム構成概要図

効果・今後
ラック点灯や排気システムなどの追加要件にも柔軟に対応
スケジュールも遅滞なくプロジェクトを完遂
また、オープン記念式典でもひときわ大きな注目を浴びたのが、LEDで7色に点灯するサーバー室。演習室との境界にはガラス面が採用され、演習室から常に見ることができる。さらに、ラック背面にはアイルキャッピング(サーバーへの給気・低温とサーバーからの排気:高温を物理的に分離し、効率的な空調環境を実現する気流制御技術)を実現する吸排気モジュールが配備されている。
岡田氏は「これらはいずれも工期終盤の追加要件かつ、前例もないとのことでどこまで本気なの? と思われたでしょうが、どうしても実現したいとリクエストをするとすぐに仕様を固め、提案してくれました。こちらの理想をきちんと受け止め、本気で実現に向けて動いてくれるユニアデックスの姿勢に感動しました。こうした通常は陰に隠れがちな設備を演出して見せることで、学生のモチベーションや来訪する方々への訴求力がまったく違います。無理をしてでも実装してよかったと感じています」
最後に、センター設立で新たな一歩を踏み出した同大学の今後の展望とユニアデックスへの期待を、岡田氏は次のように結んだ。「長崎は国際電信発祥の地として、古くから情報通信との繋がりが深い場所。本センターは、そうした歴史的背景を踏まえ、改めて長崎がICT 産業の発展をリードしていくための拠点となります。今後は人材育成と産学連携をさらに加速させ、同時に県内の産業発展や人材定着に向けた取り組みも進めていきたい。ユニアデックスにはこれからも持ち前の強みを発揮して、本学の取り組みを支援してくれることを期待しています」
お客さまの評価
きちんと「NO」と言える貴重なベンダー。良好な関係を共に築くプロジェクトマネジメントに感謝

ユニアデックスは期待以上の提案をしてくれる一方で、こちらからのオーダーの方向性が正しくなかったり、オーバースペックと判断したりしたときには、きちんと『NO』と言ってくれる、貴重なベンダーです。
そのおかげで、遅れることなく最適な環境が構築できました。メーカー各社との連携も含め、良好な関係性を一緒に築き上げながらプロジェクトマネジメントをしてくれたことに感謝しています。(岡田氏)
県や企業も期待を寄せる一大プロジェクトを無事完遂。技術力と豊富なノウハウを高く評価

前回の構築から変わらない安心感とさらなる提案力。今後も継続したサポートに期待

2023年05月取材
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