機密情報も怖くない!次世代の生成AI環境とは

~オンプレミスで実現するクローズド型LLM~

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2024年12月09日

  • AI

ChatGPTやGeminiなどの生成AI技術の登場は、私たちの生活を大きく変えただけではなく、さまざまなビジネスシーンでも活用されるようになってきました。生成AIは、企業でも業務効率化や新たな価値創造に貢献し始めていますが、情報漏えいのリスクなどのセキュリティー面や、誤った回答をしてしまうといった技術面の課題も明らかになってきています。本稿では、生成AIの現状と課題を取り上げ、その課題を解決するソリューションをご紹介します。

目次

私たちの身の回りにある生成AI

生成AI(ジェネレーティブAI、GenAIとも呼びます)とは、与えられた入力や指示に基づいて、新しいコンテンツや情報を自動的に生成する人工知能システムのことです。この技術は、テキスト、画像、音声など、さまざまな形式のコンテンツの自動生成が可能で、その使いやすさから、ビジネスや日常生活に大きな変革をもたらしています。

私たちの身の回りにある生成AI

例えば、ChatGPTに代表されるテキスト生成AIは、自然な文章を生成する能力を持っています。一方、DALL・Eのような画像生成AIは、テキストから新しい画像を創出することが可能です。生成AIは、入力されたデータを基に新しい情報やアイデアを「生み出す」能力があります。これらの技術は、企業におけるコスト構造の変革や新規事業の創出など、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。

生成AIとLLMの違い

ここでは、生成AIの内部構造について詳しく解説します。生成AIは幅広いコンテンツを生成できる汎用的な技術です。生成AIがさまざまなシステムやプロセスの根幹を担い、それらを支える原動力となっています。生成AIがどのようにしてこれらの機能を実現しているのか、そのメカニズムを掘り下げていきたいと思います。

脳の役割を担うLLMとは

生成AIの中で、テキスト生成に特化したモデルは「LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)」と呼びます。LLMは、大量のテキストデータを学習することで、人間のような自然な文章を生成したり、質問に答えたりすることができる人工知能モデルのことです。
これは深層学習と呼ばれる機械学習の手法を用いており、膨大な量のテキストデータから、単語間の関係性や文法構造などを理解し、文章の生成や理解を行うことができるようになる、という仕組みです。つまりLLMは、生成AIにおける脳の役割をもち、言語の構造や意味を理解し、私たちの問いかけにわかりやすく返答することができる、高度な技術の結晶です。 

生成AIとLLMの関係
生成AIとLLMの関係

代表的なLLM

代表的なLLMには、OpenAI社のGPTシリーズ(GPT-3、GPT-4など)や、Google社の Gemini、Meta社のLlamaなどがあります。これらのモデルはそれぞれ独自の学習方法を採用しているため、同じ質問に対しても異なる回答をすることが特徴です。これらはすべて海外の大手企業によって開発されたモデルですが、近年では日本国内でのLLMの開発が進んでおり、NTT社の「tsuzumi」やNEC社の「cotomi」など、日本語に特化した比較的小規模なモデルの提供が開始されています。
 
国産LLMは、日本語の複雑な文法や文脈に応じて変わる言葉の意味を正確に理解する能力に優れています。特に、敬語や丁寧語など、日本語特有の表現を自然に使いこなす点が顕著です。またこれらのモデルは、日本の文化、歴史、社会背景も学習しているため、日本のユーザーとの自然な対話が可能な点も特徴的です。
 
ChatGPTのような大規模サービスのLLMは、幅広いトピックについて利用したい場合に適している一方で、国産LLMは、日本語特有の表現やニュアンスを正確に捉えることができるため、日本語に特化した用途や、専門的な知識が求められる産業分野での利用に適しています。
 
最近では、それぞれの用途に応じた、使い分けが進んできています。

企業における生成AI活用の状況と課題

生成AIの内部構造についての理解を深めたところで、現在の企業がどのようにこの技術を利用しているかについてお伝えしていきます。
昨今では、企業で生成AIを利用することが 増加しており、業務効率化、イノベーション創出、顧客体験の向上など、多岐にわたる分野での活用が始まっています。生成AIは単なる技術、ツールと捉えるのではなく、適切に活用することで「組織をより競争力のあるものに変革できる」という認識が広がっています。
この技術の導入により、多くの企業が繰り返し行うタスクを自動化し、クリエイティブな作業や戦略的な判断が必要な業務に、より多くのリソースを割り当てることが可能になっています。また、生成AIを活用することで、新しいビジネスモデルの構築や既存ビジネスプロセスの再構築も進んできており、企業は新しい市場機会を獲得し 、顧客との関係を深めることができるようになってきています。

現在活用されている主な使い方

生成AIを導入する企業は、スタートアップから大企業まで非常に多岐にわたります。特に、製造業、金融業、IT業界など、データを重要なリソースとして活用する業界での採用が目立っています。今後もその数は増加していくと予想され、活用は従来の自然言語処理分野にとどまらず、画像生成、音楽生成、コードなど、さまざまな分野に広がっていくと予想されます。
以下、主な使い方(ユースケース)です。

主な使い方(ユーズケース)

明らかになってきた課題

ご紹介したように生成AIは、企業内の業務に積極的に取り入れていくことで、業務効率化や、新規事業創出などあらゆる面で企業の成長を加速させる大きな可能性を秘めていますが、同時に以下のような課題も明らかになってきています。 

セキュリティーリスク

生成AIは、悪意のある攻撃者によって、偽情報の拡散やフィッシング攻撃などに利用される可能性があります。また、生成AIのモデル自体が改ざんされることで、意図しない出力をする可能性があります。

プライバシーの侵害

学習データに個人情報が含まれている場合、生成されたテキストから個人が特定されてしまうといった個人情報の漏えいリスクがあります。 

著作権問題

生成AIの種類によっては 、既存の著作物を無断で学習に利用し、コンテンツを生成している可能性があります。 また、 生成AIによって生成されたコンテンツの著作権が誰に帰属するのか明確な法律が整備されていません。

これらの課題への対応が、生成AI活用のさらなる発展と、広範な事業への活用を可能にする鍵になると考えます。

LLMは環境を使い分ける時代へ

生成AIによる便利さと引き換えに、企業の機密情報の漏えいリスクが重大な懸念事項となっています。 情報漏えいを防ぐためのガイドライン整備や、重要データをアップロードしないといったルール設定により、ある程度のリスク軽減はできますが、全ての利用者への浸透・操作ミスなどを完全に防ぐことは困難です。
これに対する解決策として注目されているのが、企業内専用の環境を構築するクローズド型の生成AIです。企業はメガクラウドサービスが提供するオープンな生成AIと、自社環境で構築するクローズドな生成AIを使い分けるハイブリッド時代に入りつつあります。

オープン型とクローズド型の大きな違い

企業で活用が進んでいるLLMのオープン型とクローズド型の違いについてご紹介したいと思います。
 
オープン型は、原則インターネットアクセスを介して利用するサービスで、利用者はAPI呼び出しなどを介してクラウド上のLLMモデルにアクセスし、さまざまな自然言語処理タスクを実行することができます。このモデルの大きなメリットは、どこからでもアクセスが可能であり、常に最新のモデルを利用することができることです。しかし、これには安定したインターネット接続環境が不可欠であり、データ漏えいなどのセキュリティー面が懸念される場合があります。
 
一方、クローズド型は自社のサーバーやデータセンター内にLLMを構築し運用する方式です。このシステムは社内ネットワーク内で完結するため、インターネット経由でデータが漏えいするリスクを軽減でき、より高いセキュリティーを確保することが可能です。クローズド型は、特に機密性が高いデータを扱う企業や、厳しいデータプライバシー規制を順守する必要がある業界で好まれます。

LLMの環境1
LLMの環境2

どちらのモデルもそれぞれの用途とリスク管理のニーズに応じて選択する必要があり、企業は自身のセキュリティー要件や業務の特性に合わせた最適な生成AI利用を検討することが重要です。
オープン型はアップデートが頻繁で革新的な機能を迅速に利用できる利点があります。一方、クローズド型はセキュリティーとデータ保護の面で優れており、外部への情報漏えいのリスクや学習されるリスクを軽減することができます。  

クローズド型LLMの特徴・メリット

ネットワークを経由しないため、LLMへのアクセス速度が高速化し、リアルタイムでの応答が期待できます。外部環境に左右されにくいため、安定したサービスの利用が可能になります。
 
クローズド型の環境を構築する場合、初期投資は必要になりますが、長期的にはコスト削減につながることが多いです。クラウドサービスでは利用するデータ量や利用者数が増えるにつれて、料金が上昇する傾向があるからです。
これに対しオンプレミス環境では、ハードウエアを追加することで、需要の増加に柔軟に対応できるため固定費を抑えながらスケールアップすることも可能です。
 
クラウドサービスの利用においても一定のセキュリティーレベルを保つことは可能ですが、セキュリティーリスクを最大限に削減するには、クローズド型の環境であるオンプレミスの選択肢を持つことも重要です 。

クローズド型LLMの特徴・メリット

※RAG:Retrieval-Augmented Generation の略で、日本語では検索拡張生成や取得拡張生成などと訳される。LLMの能力を最大限に引き出し、より実用的なAIシステムを構築するための重要な技術。

今後の展望

LLMは、ハードウエアの性能向上や、生成AIモデルの最適化により、さらに高速かつ安定した処理が可能になることが期待されています。 これにより、エッジデバイス上で生成AIを稼働させることが現実的となり、リアルタイム処理や低遅延が実現できます。また、エッジコンピューティングの進化に伴い、エッジデバイス上での生成AI利用は、クローズド型の環境での利用が進むと考えられています。

ユニアデックスの役割

データ漏えいリスクを抑え、完全に自社でデータを管理したいというニーズが高まる中、オンプレミス環境への注目は続くと考えています。厳しいデータ保護規制に対応するうえで、非常に有力な選択肢となります。さらに、生成AIモデルのセキュリティー強化やゼロトラストアーキテクチャーとの連携など、セキュリティー技術の進歩も期待されます。これらの技術は、企業がデータをより安全に管理する助けとなり、クラウドとオンプレのハイブリッド利用のトレンドをさらに強化していくことになると考えられます。

ユニアデックスは、生成AIをクローズド型の環境でご提供します。セキュリティーリスクを大きく削減した企業内の生成AI活用をサポートします。

ユニアデックスが提供するクローズド型の環境LLMソリューション「Lazarus AI」は、独自LLMと一般的なRAG よりも優れた精度で独自情報をLLM に追加する技術であるVector Knowledge Graph(VKG)を利用し、お客さまの社内にハードウエア基盤と併せてご提供します。機密情報を厳重に保護し、カスタマイズされたLLMを提供することで、業務効率化と生産性向上に貢献します。また、最新の技術を取り入れ、常に最適な状態を維持することで、皆さまのビジネスの成長をサポートします。

Lazarus
クローズド型の環境LLMソリューション「Lazarus AI」1
クローズド型の環境LLMソリューション「Lazarus AI」2
クローズド型の環境LLMソリューション「Lazarus AI」3

クローズド型の環境LLMソリューション「Lazarus AI」概要


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