未来飛考コンパス~実践!課題を整理する方法を教えて!~

  • アイデア発想

2024年02月01日

  • ワークショップ

■課題を整理(評価と判断)する方法論は?

未来サービス研究所では、日々ワークショップを実施しています。その中で、参加された方からアイデア発想、未来予測、課題の整理方法についての質問が多数寄せられます。 

特に、「アイデア発想、課題などの項目抽出までは行えるが、次のステップをどのようにまとめて良いのかわからない。方法論はあるか?」といった質問が多く、内容は大きく以下の3つに分類されます。

1. 抽出項目の評価方法
2. 評価結果の可視化
3. 評価結果の判断方法

本稿では “課題” に着目し、抽出された課題の評価方法から判断方法までを弊社未来サービス研究所が無償で提供している “未来飛考コンパス” ツールを使用し実践します。
 
※「未来飛考コンパス」とは? 詳しく見る!

■実践範囲:課題の評価方法から判断まで

未来飛考コンパスは、“①テーマ決め評価項目の洗い出し”、“②評価軸設定定量評価” 、“③自動グラフ化” の3ステップで進めていきます。今回の実践では、①テーマ決め評価項目の洗い出しを “植物工場課題” として抽出された課題を評価項目とします。これらの課題に対し、評価・可視化・判断までを実践します(※図1の実践範囲)。ビジネス企画部門がビジネス検討の際に市場課題を整理するシーンを想定していますので、「植物工場市場への戦略について、自身がビジネス企画部門となって市場課題を整理するつもりで一緒に考えていきましょう!

今回の記事における未来飛考コンパスの実践範囲
図1 実践範囲

■1.課題評価

この工程では課題の評価を行います。最初に“評価者”を取り決めします。評価に関しては目利き力がある方/グループで行う場合やさまざまな方々の評価を取り入れる方法があります。


次に、“評価軸”を決めます。後工程でこの評価結果を利用することを前提とすると、可能な限り評価は数値化されていることが望ましいです。
 
本実践では、評価者と評価軸を以下に設定します。 

  • 評価者: 社内の有識者(目利き力がある)またはグループを評価者とします。
  • 評価軸: 各課題に対して、①植物工場事業者のビジネス上の重要性・緊急性、②自社の強みの提供可能性の有無、の評価を以下の3軸で行います。
    • 軸1) 植物工場ビジネス重要性
        植物工場事業者のビジネス上の重要性を表します。
        1から5までの5段階評価となり、影響度が低い1、高い5としています。
    • 軸2) 植物工場での緊急性
        植物工場事業者のビジネス上の緊急性を表します。
        1から5までの5段階評価となり、影響度が低い1、高い5としています。
    • 軸3) 自社の強みの提供可能性
        自社の強みの提供可能性を表します。
        1から5までの5段階評価となり、可能性が低い1、高い5としています。

では、実際に“未来飛考コンパス”の評価項目ごとに評価者が5段階で評価を入力していきます。(図2 評価入力)

未来飛考コンパスに評価を入力
図2 評価入力

■2.評価可視化

この工程では、前行程で評価した結果について “未来飛考コンパス” から生成された 「評価ランキング(図3)」と「散布図(図4)」を確認します。
 

評価ランキングでは、評価者全員の評価結果の平均を得点として、評価軸ごとに得点の高い項目から降順で表示されます。
 

入力項目の評価ランキング
図3 評価ランキング

散布図は、X軸に自社の強みの提供可能性、Y軸に植物工場ビジネス重要性とし、各項目の得点にてプロットされます。また、バブルの大きさは植物工場での緊急性の得点を表します。

評価に基づく入力項目の散布図
図 4 散布図

■3.評価判断

この工程では、前工程で生成された散布図をいくつかのゾーンに分けて評価を行います。本実践では4つのゾーンに分け、各ゾーンにどのような課題が含まれているかを確認していきます。

4つのゾーン

 
負けられない

植物工場でのビジネス重要性が高く、自社の強みがある

  課題対応ニーズに対して自社が有利であるゾーン
チャレンジ 植物工場でのビジネス重要性が高く、自社の強みがない
  課題対応ニーズに対してビジネス投資&チャレンジ検討するゾーン
取捨選択 植物工場でのビジネス重要性が低く、自社の強みがある
  課題対応ニーズが今後縮小する可能性があるゾーン
状況注視 植物工場でのビジネス重要性が低く、自社の強みがない
  課題対応ニーズが変化する可能性があり状況を注視するゾーン

評価判断の例は以下となります。


『負けられないゾーンに含まれる課題は、課題対応ニーズが高く、自社の強みを生かせる可能性があるため、自社対応策の有無や提供可能性を検討したい。また、緊急性の高い(バブルが大きい)ものは検討優先度を上げるなどを考慮したい。チャレンジゾーンに含まれる課題は、ビジネス重要性の高いものについては自社の強みを創造するかなど投資を検討したい。』
 
評価判断方法は個々の事情や状況で異なる部分がありますが、このような方法で数値化し、判断することで、関係者の理解度は深まります。なお、この評価は定期的に更新することをお勧めします。前回と比較し何が変化しているのかを把握することも重要です。

評価の度合いによってゾーン分けした散布図
図5 ゾーン分けされた散布図

■まとめ

今回は例題を基に “実践! 課題を整理する方法を教えて!” を行いましたが、いかがでしたでしょうか? 課題を整理する方法 と それを補助するツール “未来飛考コンパス” をぜひ、ご活用ください。

 (未来サービス研究所 村上義朗)

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