オンラインでも利用者様を笑顔にできる!リモート介護最前線 ~面会・見学編
【「リモート」から見える未来】 vol.2
- ライフスタイル
2020年06月01日
- 高齢社会
Vol.2では前回に引き続き、介護業界におけるリモートの活用事例【面会・見学編】をご紹介します。
ビデオ通話を活用し、介護施設入居者様と家族の「遠隔面会」を実現!
前回は、介護レクリエーションにおけるリモート事例として株式会社ウイズネット(現:ALSOK介護株式会社)様が開催した双方向型Webコンサートをご紹介しました。
しかし実は、コンサートのような特別なイベントだけではなく、より日常的なシーンでも介護業界のリモート活用は進んでいます。
遠隔面会にはビデオ通話アプリのFaceTimeを利用しています。もともと各施設にiPhoneを備えていましたので、インストールされていたFaceTimeが職員にとっても使いやすいため採用しました。現在のところAndroidには対応していません。
面会を希望されるご家族等は、事前に施設へ連絡し面会日時を予約して頂きます。面会時間になったら、施設の職員が該当する入居者様のお部屋へ伺いiPhoneかiPadからご家族のFaceTimeへとアクセスします。
ご家族は、自分のiPhoneかiPadを持たれている場合はご自宅から、お持ちでない場合は施設までいらしていただき、エントランス等の待機場所で施設の機器を使い会話をするかたちになります。面会時間は平日のみ、一回5分になります。
制限が多く申し訳なく思っておりますが、現場のスタッフの業務負担の軽減を考慮しています。
遠隔面会の様子。スタッフが付き添って実施する
積極的に利用されているのは、これまでもこまめに施設に面会にいらしていたご家族ですね。とくに看取りに近いステージの入居者様のご家族は、現在の面会が制限される状況にストレスを感じていらっしゃいますので、遠隔面会の要望を最も強く持たれていると感じます。
ご家族からは、ただの電話よりも利用者様の顔を見られるので安心だというお言葉を頂いております。また来訪されて施設の機器を使う方よりも、直接ご自身の機器を使い、自宅から面会される方が今のところ多いです。
職員からは、ふだんから施設で利用しているiPhoneなので使いやすいと好評です。年配の職員も多いので、一般的なアプリにあるようなアカウント確認などの操作があるだけでも抵抗感を持たれてしまいます。施設ではiPhoneのほかに介護業務記録ソフトなどを導入していますが、職員がひととおり操作を習得するまでにはある程度の時間が必要です。ワンタッチで使えるくらいの操作性の良さがいいですね。
入居者様については、認知症の方もいらっしゃるのでご自身で端末を操作するのは難しく、面会時は職員が付き添うようにしています。
間違いなく普及すると思います。とくに有料老人ホームの場合、近隣ではなく県外から入居される人も多くなっています。地理的に離れているご家族にとっては、遠隔面会という手段があることで施設の選択肢も広がるでしょう。
ご家族と直接会う面会に制限を設けてから、ホームページのアクセス数が増えました。当社はホームページ上で各施設が積極的にブログを更新し、日々の生活の様子を発信しています。ご家族の方が、面会で会えない代わりにブログで入居者様の様子を伺っているのだと思います。
ブログを活用することで現場の職員の士気も上がりますし、介護現場の雰囲気がより詳しく伝わるため新規職員の採用にもよい影響を与えています。ちなみに現在は職員採用でも遠隔面接を積極的に活用し、採用の効率化が図れています。
入居を希望される方の施設見学もリモートで実施
新型コロナウイルスが問題になる以前は、新規入居を検討されている方やそのご家族には直接施設の内部を見学して頂いていました。
しかし感染状況が深刻になるにつれ、施設の内部に入るのは遠慮して頂かざるを得なくなりました。電話や写真を使って施設の説明をすることも試みましたが、それでは具体的なイメージがわかないという課題があり、遠隔見学に切り替えました。
遠隔見学の方法ですが、当社の営業員が入居希望者やご家族を施設建物の外周までご案内し、営業員のiPadから施設の内部を確認して頂きます。施設のなかでは職員がiPhoneで居室や共用部等を映し、説明します。
施設のエントランスや外周に仮設スペースを作り、遠隔見学を行う
施設の外周から見学をするという点には理由がありまして、入居を検討される方には現地までの交通手段、周辺環境なども併せて知りたいというニーズがあるんですね。ですので、感染対策をしっかりと施したうえで、営業員が施設の外部までご案内しています。
最後に、今後のIT活用についてお考えを聞かせてください。
当社は高級路線というよりも、よりスタンダートな施設ラインナップを揃えております。富裕層がご利用されるような高級有料老人ホームの場合、すでにIT環境は整備されていて、遠隔のご家族とは会話だけではなくバイタル情報などのセンサーデータも共有できている施設もあると聞いています。
またそのような施設ではタブレットなどのIT機器をご自身で持ち込む入居者様もいらっしゃるでしょうが、当社の入居者様はまだガラケーの方も多いのです。
ITに対して今後積極的に導入していきたいと思っておりますが、導入済みのモバイル機器やアプリケーション、ホームページなど、まずは現在持っているIT資源を最大限活用することで、入居者様やご家族、そして職員も満足できるような介護サービスは叶えられるはずです。
ーいつでもご相談ください!! ありがとうございました!
リモート介護のポイント ~遠隔での面会・見学編
実は筆者の祖母も介護施設で暮らしていますが、やはり家族による施設入館は禁止されています。衣類など生活用品のやり取りも施設の入り口で職員に渡すのみとなり、内部の様子がわからなくなってしまいました。
やや認知症気味だった祖母の症状がますます進行しているのではないかと心配です。ビデオ通話だと「直接顔を見ながら会話ができる」というメリットがあり、祖母が家族のことを忘れてしまうのでは...という懸念がなくなりそうです。ウイズネット社の取り組みには大変共感が持てました。
また一連の取り組みのなかでも、「現在持っているIT資源を最大限活用する」という点が印象に残りました。
リモート活用というと、つい先端技術の導入へ目を向けがちです。しかし今回のケースでは、施設で導入済みだったiPhoneに搭載されているアプリを利用することで、職員にとってもストレスなくリモートの面会や見学が進められています。
今後はAndroid対応も検討されると思いますが、新しいアプリを採用する場合、インストールやアクティベーション等の作業が忙しい職員にとって負担になります。なるべく手間のかからない方法を選択するのが賢明でしょう。
ブログという身近な情報発信ツールの活用にも、まさに「知恵と工夫」を感じました。
「リモート」から見える未来
新型コロナウイルスと共存する「ニューノーマル」の一つのスタイルとして、これまで「直接の対面」が前提だったビジネスや人々の行動を、「リモート」「遠隔」「オンライン」へ置き換える試みが加速しています。
本連載では、様々な業界やビジネスにおけるリモート化の新しい動きを紹介しています。
【関連サイト】
- オンラインでも利用者様を笑顔にできる!リモート介護最前線 ~レクリエーション編
- 35施設の笑顔をオンラインでつなぐWebコンサートに挑戦! リモート介護最前線レクリエーション編 Part2
- ALSOK介護株式会社(株式会社ウイズネット)
- ※ ウイズネットの親会社であるALSOKが、グループ介護事業会社4社を2020年10月1日に統合すると発表。これに先立ち、存続会社であるウイズネットは6月18日付で商号変更を行い、ALSOK介護株式会社となりました。
- ※ 記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
- ※ 自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。
2020年06月01日公開
(2021年01月18日更新)
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