新型コロナウイルス禍でのオンライン就職活動とキャリアデザイン~大学生へのインタビューから
【「リモート」から見える未来】vol.6
- ライフスタイル
2020年10月06日
- 子育て・教育
新型コロナウイルスの流行が大学に与えた影響は授業などの教育面だけにとどまりません。就職活動においても、今年度は感染防止対策として急遽オンライン採用を実施した企業が多く、リモートでの面接による選考を進めてきました。
今後もwithコロナ時代のスタンダードとして、オンラインによる採用が定着する可能性があります。その状況下で、実際に就職活動を体験した学生はどのような思いを抱えていたのでしょうか。未来サービス研究所では、【「リモート」から見える未来Vol.5】に引き続き、産業能率大学の学生8名にインタビューを実施し、コロナ禍における就職活動と今後のキャリアデザインに与えた影響を伺いました。
オンライン就活 活動を終えた4年生の視点
メリットについては交通費の削減が最も大きい点です。ただ、デメリットとしては画面越しなので、自分がその企業に入りたいという熱意がうまく伝わったのかが不安でした。
加えて、ZoomのIDやパスワードを電話で伝えてくださる人事の方もいたのですが、Zoomというオンラインに関する情報を電話で共有するというのは少し変な感じがしました(笑)。メールで十分だと思うのですが...。
やはり自宅から面接ができるのはメリットです。特に遠方の人は便利だったのではないでしょうか?デメリットは企業の特定の人としか関われないことです。人事の方とおもにコミュニケーションを取っていましたが、より多くの企業の方の人柄を知るためにも、1回でも会社に行く機会があったら良かったなと感じています。
—4年生の皆さんありがとうございます。
共通点として、「会社の雰囲気が分かりにくい」ことを問題に感じている学生さんが多いようです。わざわざ会社に出向かなくて済む点がメリットである反面、リモートでのコミュニケーションについては、企業側も初めてのケースが多いこともあり、双方ともに試行錯誤だったのではないかと思われます。
ちなみに、われわれユニアデックスでは写真で社員を紹介するWebページがあり、会社の素の雰囲気が伝わってくると当社に就職を検討している方々に好評です。
このように職場の普段の姿をWebページやブログで公開している企業や団体は多いので、こまめにチェックするのも一つの方法でしょう。
また将来的には、3Dカメラで職場内の風景を撮影した動画を学生に公開したり、VRで疑似会社訪問ができたりと、オンラインでも極力リアルの職場環境に近い体験ができるように就職活動のスタイルが変化していくかもしれません。
これから就活を始める1〜3年生の思いと懸念点
学生さんたちが共通して指摘しているのは、きちんと自身の本質を伝えられるのか、また企業の特徴を把握できるのかという懸念でした。就職活動では、文字やデータで表すことのできない人柄や社風などの情報も重視されます。オンラインの活動ではこのような感触を掴むのは難しい面があり、学生と企業との間のミスマッチが起こる可能性もあります。
近年では、人の表情やしぐさの画像データや、心拍・声紋などのバイタルデータから感情を分析するエモーショナルビジネスが成長しています。就職活動においても、面接時の喋り方や表情から入社への熱意が測定できる時代が来るかもしれません。
新型コロナウイルスがキャリアデザインに与えた影響
ただ、感じたのはどこの企業も採用人数を絞っているということです。就活生専門のSNSサイトを見ても状況は厳しいという印象です。
—貴重なお話をありがとうございました。
インタビューを終えて
今回のインタビューでは、オンライン就職活動の手段的なメリットとデメリットが明らかになったとともに、新型コロナウイルスが学生の皆さんの今後のキャリアデザインにもたらした影響についても伺うことができました。志望業種や企業を変更せざるを得なかった学生さんの声には心が痛みますが、いっぽうでコロナを機に自分の適性に沿った業種を検討し直す、コロナに対する企業の対応をもとに企業の選別眼を養うなどの前向きな姿勢も見られました。
新型コロナウイルスの影響が長引くなか、就職活動は今後も厳しい状況が続くと思われます。就職という人生の節目をwithコロナとともに迎えるインパクトは大きく、若者に与える負の影響をいかに小さくすべきかが大きな社会課題であると感じました。私たちIT企業も、オンライン就職活動を支える通信インフラの支援だけではなく、今回のインタビューから明らかとなった企業側と学生双方が抱えているオンラインの課題を埋めていく新しいサービスを創出していきたいと思います。
(インタビュアー:未来サービス研究所 村上、山田、八巻)
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「リモート」から見える未来
新型コロナウイルスと共存する「ニューノーマル」の一つのスタイルとして、これまで「直接の対面」が前提だったビジネスや人々の行動を、「リモート」「遠隔」「オンライン」へ置き換える試みが加速しています。
本連載では、さまざまな業界やビジネスにおけるリモート化の新しい動きを紹介しています。
- ※ 記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
- ※ 自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。
2020年10月05日公開
(2020年10月06日更新)
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