対話型AIはアイデア出しに有効?~ブレストは質より量!編~

【未来研アイデアよもやま話 vol.7】

  • アイデア発想

2023年09月29日

  • ソリューション

ここ最近、ChatGPTなどの対話型AIが急速に注目を集めています。

対話型AIを用いて文章の要約や翻訳をしたり、コードを書かせたり、HPの問い合わせ対応に使ったりと、さまざまな用途で使われはじめています。

対話型AIはアイデア発想にも使えると期待されています。実際に役立つアイデアは出てくるのでしょうか?未来研研究員が、BIPROGYグループ社内で活用している対話型AIBIPROGY Chat」(gpt-3.5-turbo)を使ってアイデア出しを行ってみました。

まずはアイデア出しの定番であるブレストに誘ってみます!テーマは筆者の好きな「猫」ビジネスです!


喜んでお手伝いしてくれるそうです!ありがたい!思い立ったときに気軽に始められるのもいいですね。対人間だとスケジュール調整が大変です。

アイデアの方向性について確認されました。確かに猫ビジネスでは広すぎますね。筆者の興味のある「保護猫」と「IT」に関連するビジネスで進めてみます。

「素晴らしい目標」というお言葉が嬉しいですね。

わずか数秒で5つのアイデアを出してくれました。

1,3,4,5は保護猫と飼い主のマッチングや飼い主の教育などについてです。保護猫に興味のある人であれば、ある程度想定の範囲内、既にありそうなサービスではあります。ですが、このように言語化されたものを読んでいく中で、保護猫の周辺ビジネスについて自分の考えが整理されたり、刺激が得られて自分自身の発想が促進されていく感覚があります。
2は想定外なアイデアです。「保護猫が描いた絵」がどういうものなのかよく分かりませんが、ブレストは否定せず意見に乗っかっていくのが醍醐味!2のアイデアに乗っかってみましょう!


 音楽に関してさらに掘り下げてアイデアを出してくれました。

「保護猫×芸術、音楽」という切り口は考えたこともありませんでした。

以前この「アイデア発想よもやまコラム」でも記載した通り、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」です。

対話型AIがなぜ芸術というワードを出してくれたのかは分かりませんが、人間だと先入観から結び付けないようなワードが出てくることで、新しいアイデアが促進されそうです。

 

さて、ブレストを続けましょう。

出してもらったアイデアを掘り下げたい気持ちもありますが、情報量が多く、どれを掘り下げてよいか決め手がありません。そして、ブレストといえば「質より量」が大切です。

もっとたくさんのアイデアを出してもらうべく、100個のアイデア出し」を無茶ぶりしてみました。相手が人間だととてもできないお願いです。なんだか罪悪感がありますが、どうなるでしょう?

100個というオーダーは華麗にスルーされましたが、1分足らずで40個のアイデアがでてきました。

この量を人間が出そうとすると十分程はかかりそうです。

アイデアの内容を見ていくと、「保護猫」はしっかり押さえられていますが、「IT」という条件が抜けているものが多いような気がします(汗)。複数の制約条件を抑え続けるのは難しいのかもしれません。あるいは「IT」という制約条件が汎用的すぎたのかもしれません。

とはいえ、話が脱線したり制約条件の一部が忘れられていくのは人間同士のブレストでもあるあるですね。

追加で40個お願いしてみました!相手が人間だったら嫌なやつ認定されそうですが、恐る恐る頼んでみます。

70の途中で力尽きましたね。もうひと頑張り!

96で再度息切れしながらも、あっという間に100個にたどり着きました!感謝!

100個のアイデアを読んでいきます。

やはり、一つ一つのアイデアは既にありそうなものや、抽象度が高く具体的なニーズや実現性が見えづらいと感じるものも多いです。ただ、短時間でたくさんの情報が得られ、意外なワードもところどころ出てくるため、挙がってきたアイデアを読んでいるうちに、自分の考えが刺激されてひらめきがでてくる感覚があります。
 

人とのブレストとの最大の違いは、大量に出されたアイデアを人間側が読んで咀嚼する時間にあるように思います。対人間だと、メンバーが一緒にひらめきを促しあいながら一つ一つ階段を上っていく感覚がありますが、AIでは大量に提示された情報を人間側が理解し精査しながら、自分自身の中でひらめきを得ていきます。この咀嚼する時間をおろそかにすると、たくさんの情報が提示されて満足した気になって終わっていく、ということになってしまいそうです。

対話型AIに良いアイデアを出してもらうのではなく、対話型AIにたくさんのヒントをもらいながら自分の頭の中でアイデアの種を育てていく、というのが良い使い方なのかもしれません。

さて、100個のアイデアを読んでいくと、似ているアイデアも多いように感じました。そんなときはKJ法でカテゴリ分類することが有効です。これも対話型AIにお願いしてみます。

上記の続きの回答は割愛しますが、1分足らずで100個のアイデアを5つのカテゴリーに分類してくれました。分類ごとに考えていくと、さらに考えの整理に役立ちそうです。

最後にたくさんアイデアを出してくれた対話型AIに、おすすめのカテゴリーを聞いてみました。

おすすめのカテゴリーを伝えることはできないとのこと。やはり対話型AIに答えを出してもらうのではなく、自分自身で考えることが重要なようです。

おすすめはしないものの、保護猫ビジネスの検討の方向性を示してくれました。一般論を述べているといえばそれまでですが、もっともらしい内容が示されています。最初にこちらが示した「保護猫をITでもっと幸せにしたい」というテーマを改めて思い出させてくれます。

今回のブレストは一旦これで終了としました。

対話型AIとのブレストを試した結果を整理すると、こんな感じでしょうか。

    利用者がブレストしたいときに気軽に利用できる。

    人間にはできない圧倒的な速さでたくさんのアイデアが得られる。

    人とのブレストとは異なることを想定して使うとよい。

対 人間⇒メンバーが一緒にひらめきを促しあいながら共に階段を上っていく感覚

AI⇒大量に提示された情報を人間側が理解し精査しながら、自分自身の中でひらめきを得ていく感覚

    人間では先入観から出てこないような以外なワードも出てくるので新しいひらめきの促進になる。

    たくさんのアイデアを短時間に分類、整理してもらえる。

 今回の記事のお題、「対話型AIはアイデア出しに有効?」について、個人的には「対人間のブレストとは異なるが、対AIだからこそのメリットがあり、かなり有効」という感想です!

前述の通り、対話型AIにたくさんのヒントをもらいながら自分自身の頭の中でアイデアの種を育てていくというのが、良い使い方の一つではないかと思います。

 対話型AIは質問の仕方で回答が変わってきますので、まだまだアイデア出しのコツを探っていけそうです。また、今回はたくさんのアイデアを出すことに注力して対話型AIを活用しましたが、アイデアの深堀やアイデアから企画を起こしていくプロセスにも対話型AIが活躍しそうです。今後も様々な形で対話型AIをアイデア出しに活用して、また記事にしていきたいと思います。

 

(未来サービス研究所 金森)


「未来研アイデアよもやま話」とは

 
未来サービス研究所では、イノベーションについての調査研究や、アイデア発想のためのワークショップの開催などを行っています。
本コラムでは、これらの活動から未来研の研究員が重要だと感じるアイデア発想のノウハウ、ヒントになりそうなことやアイデア発想にまつわる試行錯誤についてコラム形式でお伝えします。
新しい取組をしたいけどなかなかアイデアが出てこない、アイデアを組織的に出していくにはどうしたらよいのか、といった悩みにささやかなヒントをお届けできたら嬉しいです。
 

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